AI講座・生成AIスクールの受講に使える国の支援制度は、大きく分けて「厚生労働省の教育訓練給付(3種類・恒久制度)」と「経済産業省のリスキリング補助(期限付き事業)」の計4つです。どれを使えるかは、①雇用保険に入っているか(いたか)②在職中か離職中か③転職する意思があるか、の3つでほぼ決まります。この記事は特定のスクールに利害のない立場から、4制度の見取り図と「自分はどれを使えるか」の判定、給付額の正確な計算例をまとめたものです。
この記事の要点
- 厚労省の教育訓練給付は一般(20%)・特定一般(40〜50%)・専門実践(50〜80%)の3段階で、恒久的な制度
- 経産省のリスキリング補助(最大70%・上限56万円)は在職中×転職意思が条件で、2027年3月末までの継続予定
- 給付対象は「スクール単位」ではなく「コース単位」。申し込み前の確認先まで本文で案内します
4制度の全体マップ
| 制度 | 所管 | 給付率(段階) | 上限額 | 期限 |
|---|---|---|---|---|
| 一般教育訓練給付 | 厚労省 | 20% | 10万円 | 恒久(改正あり得る) |
| 特定一般教育訓練給付 | 厚労省 | 40%→50%(資格取得+1年以内の雇用) | 20万円→25万円 | 恒久(同上) |
| 専門実践教育訓練給付 | 厚労省 | 50%→70%→80%(下記) | 年40万→56万→64万円 | 恒久(同上) |
| リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業 | 経産省 | 受講中50%+転職後20%=最大70% | 計56万円 | 2027年3月末まで継続予定 |
(出典:厚生労働省・経済産業省の各公式ページ。2026年7月5日確認)
このほかに人材開発支援助成金(厚労省)がありますが、これは従業員に研修を受けさせる企業向けの制度です。個人で申し込むものではないため、この記事では上の4つに絞ります。
あなたはどれを使える?3つの分岐で判定
分岐1:雇用保険に入っている(いた)か。 教育訓練給付3種は雇用保険の被保険者期間が前提です。フリーランス・経営者などで雇用保険の加入歴が要件を満たさない場合、この3種は使えません。
分岐2:在職中か、離職中か。 経産省のリスキリング補助は在職中の人が対象です(採択事業者経由で申し込む方式)。一方、厚労省の教育訓練給付は、離職中でも一定の条件を満たせば使えます。離職してAI学習に集中したい人は厚労省側を確認してください。
分岐3:転職する意思があるか。 経産省補助の後半20%は「雇用主が変わる転職」の成功が支給条件です。今の会社でスキルアップしたい(転職しない)人が経産省補助を使うと、受講中の50%分までになります。
まとめると——在職中×転職意思ありなら経産省補助と専門実践の両方が候補、離職中なら厚労省3種が軸、転職予定なしの在職者は厚労省3種+経産省の50%分が検討対象です。
なお、制度の併用可否は条件が細かいため、申し込み前にハローワークと各事業者窓口の両方で確認してください。
給付額の計算例(50万円のAI講座の場合)
専門実践教育訓練給付:段階で増える仕組み
「最大80%」とよく書かれますが、80%は自動ではありません。3段階の条件があります。
- 受講中〜修了:50%=25万円(年間上限40万円の範囲内)
- 修了・資格取得等+1年以内に雇用保険の被保険者として雇用:70%=35万円まで積み上げ(同56万円)
- さらに賃金が受講前より5%以上上昇:80%=40万円まで積み上げ(同64万円。令和6年10月以降開講の講座)
つまり50万円の講座は、**確実なのは25万円分の給付(実質25万円)で、転職・昇給の結果次第で最大40万円給付(実質10万円)**まで伸びる、という設計です(出典:厚生労働省)。
経産省リスキリング補助:転職成功で7割
- 受講中:50%=25万円
- 転職成功後:+20%=10万円、合計35万円(実質15万円)
後半の20%は転職が成立してはじめて支給されます。「補助で最大70%」の見出しだけを見て申し込むと、転職しなかった場合の自己負担が想定と変わるので注意してください(出典:経済産業省事業公式サイト)。
申し込み前に必ず確認する3つのこと
- そのコースが対象か(スクール名ではなくコース単位で対象・対象外が分かれます。厚労省の教育訓練講座検索システムか各社公式で確認)
- 事前手続きの期限(教育訓練給付には受講開始前の期限付き手続きが必要な区分があります。最新の期限・必要書類はハローワークで確認)
- 自分の受給資格(雇用保険の加入期間・過去の給付利用歴による。最終判断はハローワーク)
→ どのスクールのどのコースが対象かは、給付金・補助金対象の生成AIスクール比較で横断比較できます。実質価格の自動計算は実質価格シミュレーターをご利用ください。
FAQ
Q. 給付金と補助金、結局どっちがお得ですか? A. 一概には言えません。転職前提なら経産省補助(最大70%)と専門実践(最大80%)の両方が候補になり、講座がどちらの対象かで実質額が変わります。対象講座・自分の適格性・転職意思の3点で比較してください。
Q. 月額制のAI学習サービスにも使えますか? A. 月額サブスクリプション型のサービスは対象外であるのが一般的です。給付・補助の対象は指定を受けた「講座」単位のため、検討中のサービスが講座として指定されているかを確認してください。
Q. 経産省のリスキリング補助はいつまでですか? A. 令和8年度末(2027年3月末)までの継続予定と公表されています。ただし予算・制度は変更され得るため、申し込み時に事業公式サイトで最新情報を確認してください。詳しくはリスキリング補助金はいつまで?で解説しています。
Q. フリーランスですが使える制度はありますか? A. 雇用保険の加入歴が要件を満たしていれば教育訓練給付を使える場合があります。加入歴がない場合、この記事の4制度は基本的に対象外です。受給資格の有無はハローワークで確認できます。
まとめ
- AI講座に使える個人向けの国の支援は、厚労省3種(恒久)+経産省1つ(2027年3月末まで予定)の計4制度
- 使える制度は「雇用保険」「在職か離職か」「転職意思」の3分岐でほぼ決まる
- 「最大80%」「最大70%」には段階条件がある。確実に受けられる分と、転職・昇給の結果次第の分を分けて資金計画を立てるのが失敗しないコツ
次に読む:教育訓練給付金でAI講座を受ける方法/給付金・補助金の申請手順ガイド
※本記事は一般的な情報の整理です。給付・補助の受給可否は個人の雇用保険の状況等により異なります。個別の判断は必ずハローワーク・各制度の公式窓口でご確認ください。
出典
- 厚生労働省「教育訓練給付金」
- 厚生労働省「専門実践教育訓練の教育訓練給付金のご案内」(PDF)
- 経済産業省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」公式サイト
最終更新:2026年7月5日/fondantAI編集部