経産省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」(受講費用・税別の最大70%=上限56万円を補助)は、令和8年度末=2027年3月末までの継続予定です(出典:事業公式サイト)。ただし「2027年3月まで申し込める」わけではありません。採択事業者の案内では受講修了が2027年3月31日まで、転職完了が2027年4月30日までとされており、コース期間から逆算すると、申込の実質リミットはコースによって2026年内に来ます。この記事では4つの「締切」の構造と、コース期間別の逆算、間に合わない場合の代替までを整理します。

この記事の要点

  • 事業者の公募は六次で終了・七次は未定。選べるのは既に採択済みの事業者の講座のみ
  • 締切は1つではない:①事業終了予定(2027年3月末)②受講修了期限 ③転職完了期限 ④予算枠の消化——の4層構造
  • 3ヶ月コースなら2026年11月頃が申込の実質ライン(目安。各事業者の締切が優先)
  • 追加分(1/5)には「転職後1年間の継続就業」という条件がある。 期限より先に、ここを確認する
  • 間に合わなくても、厚労省の教育訓練給付(恒久制度・最大80%)という代替がある。焦って合わない講座に申し込む必要はない

⚠️ 2026年7月25日 追記:事業者の公募はすでに終了しています。 公式サイトのお知らせによると、本事業の公募は六次公募(令和7年9月16日正午締切)をもって終了し、七次公募の実施は未定とされています。これは「講座を提供する事業者を新たに募集することが終わった」という意味で、個人が使えなくなったわけではありません。 四次公募以降、個人への支援(キャリア相談・リスキリング提供・転職支援)の終期は令和8年度末まで延長されています。 ただし、選べる講座は「すでに採択されている事業者」のものに限られます。 今後、新しい事業者や講座が増える見込みは、現時点では公表されていません。(出典:リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業 公式サイト、2026年7月25日確認)

この追記が意味すること

読者にとっての実務的な影響は3つです。

  1. 選択肢は今ある事業者からになる:新規の参入を待つ意味は薄くなりました。いま採択されている事業者の中から選ぶ前提で動いてください
  2. 予算枠の消化が、より効いてくる:新たな事業者が増えない以上、④の枠は逼迫しやすくなります。「まだ期限まで余裕がある」という読みは危険度が上がりました
  3. 代替の重要度が上がった:厚労省の教育訓練給付(恒久制度)を先に検討する価値が、以前より高くなっています

期限より先に、条件を確認する

期限だけ見て動くと、あとで足をすくわれます。公式サイト(転職をご検討の方)に書かれている条件を、先に押さえてください。

補助は2段階、そして2段目に条件がある

段階補助される額条件
①受講を修了した場合受講費用(税別)の1/2相当額・上限40万円講座を修了すること
②転職した場合(追加)受講費用(税別)の1/5相当額・上限16万円転職し、その後1年間継続的に転職先で就業していることが確認できること

②の「1年間継続的に就業」が、見落とされやすいところです。 転職した時点で決まりではありません。

「転職」の意味が限定されている

さらに公式は、本事業における「転職」を次のように定義しています。

  • 補助事業で実施された職業紹介による転職、または
  • 転職支援を実施する職業紹介事業者が自社で雇用する転職

によって新たな雇用契約を締結したこと。

つまり、自分で見つけた会社に自力で転職した場合は、ここに当てはまりません。 「講座だけ受けて、転職は自分で」という進め方だと、②の分は対象外になります。

補助されるのは「あなた」ではなく「事業者」

公式に、本補助事業の直接的な補助対象は個人ではないと明記されています。補助事業者に補助金が支給され、受講者はその分だけ負担が軽くなった価格で講座を受けられるという仕組みです。

だから、あなたが国に申請書を出すわけではありません。窓口は事業者です。手続きの主導権が自分にない、という前提で動いてください。

なお、キャリア相談と転職支援は無料で受けられます。費用がかかるのは講座部分だけです。

🔍 編集部の本音 「最大70%」という数字だけが広まっていますが、満額に届くには、修了して、事業経由で転職して、そこに1年勤める必要があります。 期限に間に合うかを心配する前に、この道筋を自分が歩けそうかを考えたほうが、間違いが少ないと思います。

「いつまで」の答えは4層ある

締切時期何が起きるか
① 事業の終了予定令和8年度末(2027年3月末)事業自体の区切り。令和9年度以降の継続は現時点で公表されていない
② 受講修了の期限2027年3月31日(採択事業者の案内)これまでに講座を修了しないと補助の対象にならない
③ 転職完了の期限2027年4月30日(採択事業者の案内)追加20%分(合計70%)はこれまでに転職成立が条件
④ 予算枠の消化予測不能事業者ごとの予算枠が尽きると期限前でも受付終了があり得る

※②③は採択事業者の公開案内に基づく情報です。実際の締切は申し込む事業者・講座ごとに異なるため、必ず申込先の案内と公式ポータルで確認してください

③については、もう一段ややこしい点があります。 公式には追加分の条件として「転職後1年間の継続就業の確認」が挙げられている一方、事業の終了予定は2027年3月末です。転職が2027年4月30日ぎりぎりなら、1年後の確認は2028年春になります。この場合にどう扱われるかは公式に明記がありません。追加分をあてにするなら、申込前に事業者へ直接確認してください。 ここは推測で判断してよい部分ではありません。

この構造から分かる重要な点が2つあります。第一に、本当の締切は「①事業終了」ではなく「②受講修了」から逆算した申込日であること。第二に、④予算枠は誰にも読めないため、逆算上はまだ余裕がある人も「受付が続いているうちに」という不確実性を抱えることです。

コース期間別・申込リミットの逆算(目安)

受講修了期限(2027年3月31日)から、申請手続きに約1ヶ月かかると仮定して逆算します。

コース期間受講開始のリミット目安申込・手続き開始の目安2026年8月時点
9ヶ月コース2026年6月末2026年5月中過ぎている
6ヶ月コース2026年9月末2026年8月中今月がライン
3ヶ月コース2026年12月末2026年11月中まだ余裕あり
1ヶ月講座2027年2月末2027年1月中まだ余裕あり

(検算:2027年3月31日 − 6ヶ月 = 2026年9月末開始。手続き期間1ヶ月を引いて8月中の申込目安)

この表はあくまで考え方の目安です。 修了認定のタイミング、事業者側の受付スケジュール、途中の休講などで前後します。検討中の講座があるなら、逆算を自分でやり直すより、その事業者に「今から申し込んで補助の対象になるか」を直接確認するのが確実で早いです。

「いつから使えるのか」=いまも申し込めます

「いつまで」と同じくらい多い疑問が、「そもそも今から申し込めるのか」です。

結論から言うと、申し込めます。 終了したのは講座を提供する事業者を新たに募集する公募であって、個人の利用ではありません。すでに採択されている事業者の講座は、いまも受け付けています。

探し方は公式サイトから始めるのが確実です。

  1. 公式サイトの「転職をご検討の方」から、補助事業者の検索ページへ進む
  2. 希望の職種や身につけたいスキルで、講座と事業者を絞る
  3. 事業者のページから、直接申し込み・問い合わせをする

自分に合う分野が決まっていない場合、公式サイトには質問に答えると向いている職種が分かる診断も用意されています。

なお、講座はデジタル分野だけではありません。公式には、プログラミングやWebデザインなどに加えて、医療・介護・福祉・保育分野に関係する講座も受けられると書かれています。「IT系しかないなら自分には関係ない」と早合点しないでください。

「補助金」「助成金」「給付金」の呼び分け

検索するとき、呼び方が混ざって迷うところなので、整理しておきます。

呼び方この文脈での意味
補助金経産省のこの事業の正しい呼び方。予算枠があり、公募・審査を経る
助成金一般には要件を満たせば受けられるもの。この事業は助成金ではないが、検索語としてはよく使われる
給付金厚労省の教育訓練給付金。別制度で、こちらは個人が直接申請する

同じものを指しているつもりで、まったく別の制度を調べていた、というのがいちばん多い遠回りです。制度の全体像はAI講座で使える給付金・補助金の全体マップで確認できます。

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焦る前に確認すべき2つのこと

1. そもそも自分が対象か。 この補助は在職中で、雇用主が変わる転職を目指す人が対象です。離職中の人・転職予定のない人は対象になりません(その場合の選択肢は後述)。自分がどの制度の対象かはAI講座で使える給付金・補助金の全体マップの3分岐で判定できます。

2. その講座で本当にいいか。 期限を理由に講座選びの基準を下げるのは本末転倒です。補助で7割引きでも、目的に合わない講座の自己負担3割と数ヶ月の時間は損失です。講座選び自体は給付金・補助金対象の生成AIスクール比較で、期限とは切り離して検討してください。

間に合わない場合の代替:恒久制度がある

逆算に間に合わない人、対象外の人には、厚生労働省の教育訓練給付という恒久制度があります。

  • 専門実践教育訓練給付:50%(受講中)→70%(修了・資格取得+1年以内の雇用)→80%(賃金5%以上上昇)。年間上限は40万→56万→64万円(出典:厚労省)
  • 特定一般教育訓練給付:40%→50%(上限20万→25万円)
  • 経産省補助と違い離職中でも条件を満たせば利用でき、期限に追われることもありません

「2027年3月までに急がないと損」という情報だけを見て焦る必要はありません。経産省補助が使えるならその方が有利な場面は多いものの、恒久制度側にも最大80%の道があり、あなたの雇用状況によってはそもそも厚労省側が本命です。

FAQ

Q. 2027年4月以降、後継の制度はできますか? A. 現時点で公表された情報はありません。政府のリスキリング投資は継続方針が示されているため何らかの形は考えられますが、未確定の期待で計画を立てるのは避け、現行制度の期限で判断してください(この記事は後継事業の発表があり次第更新します)。

Q. 予算がなくなって早期終了することはありますか? A. 事業者ごとの予算枠が消化されると、期限より早く受付を締め切る可能性があります。過去の類似制度でも予算消化による早期終了は見られました。確実な情報は各採択事業者の受付状況で確認してください。

Q. 受講中に2027年3月を越えてしまったらどうなりますか? A. 採択事業者の案内では受講修了が2027年3月31日までとされており、越えた場合の扱いは事業者・講座により異なります。申込前に「途中で期限を越えた場合」の扱いを必ず確認してください。

Q. 転職しなかった場合、もらった補助は返すのですか? A. 受講修了の分(1/2・上限40万円)と転職後の分(1/5・上限16万円)は別の支給です。転職しなかった場合の扱いは事業者経由で必ず事前確認してください。本記事では断定しません。

Q. 自分で見つけた会社に転職しても、追加分はもらえますか? A. 公式は本事業の「転職」を、補助事業で実施された職業紹介による転職、または転職支援を実施する職業紹介事業者が自社で雇用する転職と定義しています。自力で決めた転職は、この定義に当てはまりません。

Q. 転職したあと、すぐ辞めたらどうなりますか? A. 追加分(1/5・上限16万円)の条件は、転職後1年間、継続的に転職先で就業していることが確認できることです。1年に満たない場合の扱いは事業者に確認してください。

Q. 「リスキリング助成金」で調べても出てきません。 A. 正式には補助金(経産省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」)です。厚労省の教育訓練給付金とは別制度なので、混同すると調べる先を間違えます。

Q. いまから申し込めますか? A. 申し込めます。終了したのは事業者の公募であって、個人の利用ではありません。すでに採択された事業者の講座から選ぶ形になります。

まとめ

  • 締切は4層:事業終了(2027年3月末予定)・受講修了・転職完了・予算枠。本当のリミットは受講修了からの逆算
  • 目安(2026年8月時点):9ヶ月コースは過ぎている、6ヶ月コースは今月がライン、3ヶ月コースは11月まで
  • 補助は2段階。追加分(1/5・上限16万円)には「転職後1年間の継続就業」の条件がある
  • 「転職」は事業経由の職業紹介によるものと定義されている。 自力での転職は当てはまらない
  • 事業者の公募は六次で終了、七次は未定(2025年9月)。ただし個人はいまも申し込める
  • 間に合わなくても厚労省の恒久制度(最大80%)がある。期限を理由に講座選びの基準を下げないこと

次に読む:教育訓練給付金はいくら戻る?受講費用別の早見表と実質負担の計算


※本記事の期限情報は2026年8月9日時点の公表資料・採択事業者の案内に基づきます。制度・締切は変更され得るため、申込前に必ず事業公式サイトと申込先事業者で最新情報をご確認ください。

更新履歴

  • 2026年8月9日:公式サイト「転職をご検討の方」を確認し、追加分(1/5)の「転職後1年間の継続就業」条件、本事業における「転職」の定義、補助対象が個人ではない仕組みを追記。「いつから申し込めるか」と呼び方の整理を追加。逆算表を2026年8月時点に更新
  • 2026年7月25日:事業者の公募が六次公募をもって終了した件を追記

出典

最終更新:2026年8月9日/fondantAI編集部