建設現場の自動化は、業界の流行ではなく国の政策として進んでいます。 国土交通省は2024年4月に**「i-Construction 2.0」を策定し、これまでの「ICT等の活用」から「自動化」**へ舵を切りました。

ただし、数字を見ると規模はまだ小さい。 2025年度の自動施工は9件、遠隔施工は41件です。前年度から倍増していますが、全国の現場の数と比べれば、始まったばかりの段階です。

この記事の要点

  • 国の方針は3つの自動化(施工/データ連携/施工管理)
  • 2025年度の実績は自動施工9件・遠隔施工41件。倍増したが規模は小さい
  • 2026年度のキーワードは**「AI活用」「規模に依らない普及」「原則化へ」**

⚠️ 以下は2026年8月12日に国土交通省の公表資料で確認した内容です。件数は国の取組に関するものであり、建設業全体の普及状況を示すものではありません。

国が進めている3つの自動化

i-Construction 2.0が目指しているのは、「今よりも少ない人数で、安全に、快適な環境で働く生産性の高い建設現場」です。 その柱が3つあります。

① 施工のオートメーション化

公式の定義がそのまま要点です。各種センサやAI等を活用し、自動的に作成された施工計画に基づき、1人のオペレーターが複数の建設機械の動作を管理するというものです。

「1人が複数台を管理する」——ここが従来との違いです。1人1台の前提が崩れます。

実現に向けて、次の整備が進められています。

  • 自動施工の標準的な安全ルール等の環境整備
  • 異なるメーカー間の建設機械を制御できる共通制御信号の策定
  • 人の立ち入らない現場での作業を可能にする遠隔建設機械の普及促進

2つ目のメーカー間の共通制御は、実務では大きい話です。 現場の機械が1社で揃うことは稀だからです。

② データ連携のオートメーション化

BIM/CIM等のデジタルデータを使い、調査・測量、設計、施工、維持管理という建設生産プロセス全体をデジタル化・3次元化するという方向です。

公式に挙げられている効果が具体的です。

  • 調査の一部の削減
  • 問合せの削減
  • 資料を探す手間と待ち時間の削減

「資料を探す手間」が国の資料に明記されているのは、それだけ現場で時間を食っているということだと思います。

さらに、BIツール等を活用したペーパーレス化(情報共有システムの拡充による書類削減)で、バックオフィスの効率化も進めるとされています。

③ 施工管理のオートメーション化

施工管理の仕事に最も直接効く部分です。

取組中身
遠隔臨場の適用拡大これまで立会い等の確認行為で使っていたものを、検査にも適用
配筋の出来形確認コンクリート構造物について、デジタルカメラで撮影した画像の解析による計測技術を適用
プレキャスト化小型・中型に加え大型構造物にも導入し、リモート化・オフサイト化

配筋の出来形確認が画像解析でできるというのは、現場に行って測る作業の一部が置き換わるということです。

🔍 編集部の本音 建設業のAIというと「書類作成が楽になる」話に矮小化されがちですが、国が進めているのは施工そのものの自動化です。一方で件数はまだ小さい。「明日から変わる」でも「まだ関係ない」でもない、という中間の理解がいちばん実態に近いと思います。

「資格を補完する」という考え方

白書では、省人化・省力化技術を3つに分類しています。

分類建設分野の例
技術で人を代替人に代わり自動で鉄筋結束作業を行うロボット
技術で作業効率の向上
技術が資格・作業能力を補完自動施工の導入により、重機免許を持つオペレーターの操作を不要化

3つ目の考え方が重要です。 「資格を持つ人がいないとできなかった作業」を、技術が補完するという整理になっています。

担い手不足が構造的な業界において、この方向は現実的だと思います。 ただしこれは自動施工という取組の事例として示されたものであり、免許制度そのものが変わるという話ではありません。

2025年度に実際に起きたこと

国土交通省が公表した2年目(2025年度)の成果です。

項目2025年度前年度
自動施工9件4件
遠隔施工41件21件
ICT施工 Stage2「建設現場のジャストインタイム」111件45件

いずれも倍増しています。 ただし、絶対数としてはまだ小さい。この2つを同時に見ることが大切です。

このほか、次の成果が挙げられています。

  • AIを活用した海底測量の効率化、海上工事における自動・自律化施工
  • 設計段階の3次元モデルと2次元図面の整合確認方法を要領化
  • ICTによる新たな舗装品質管理の導入(出来形管理から品質管理へ)

最後の「出来形管理から品質管理へ」は、検査の考え方そのものの変化です。 形が図面どおりかを測るのでなく、品質を管理する方向に寄っています。

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2026年度はどう動くか

3年目(2026年度)は「i-Construction 2.0 躍動の年」と位置づけられ、3つのキーワードが示されています。

  1. AI活用
  2. 規模(企業・工事)に依らない普及
  3. 試行から本格運用へ、さらに原則化へ

2つ目と3つ目が、現場にとっては重い意味を持ちます。

**「規模に依らない普及」**は、大手や大規模工事だけの話にしない、という方向です。中小の事業者にも広がることが前提になります。

**「原則化へ」**は、いずれ標準になるということです。試行に手を挙げなかった会社も、順に対応が必要になると読むのが自然だと思います。

施工管理の人が今できること

国の取組は公共工事が中心ですが、AIの活用は今日からできます。

やること効果
打合せ記録の整理効果実感が最も高い領域(議事録・メール作成補助72.3%
日報・週報の下書き定型。人が数値だけ確認する
書類のひな形作成提出書類の初稿づくり
安全教育資料の下書き内容は必ず有資格者が確認

注意点があります。 図面や工事情報は、発注者との契約上の扱いが決まっていることがあります。AIに入力してよいかは、必ず事前に確認してください。 判断軸はAIに社内情報を入れていい?にまとめています。

職種全体の見取り図は職種別・AIで変わる仕事まとめ、事務側の変化は事務職の仕事はAIでどう変わる?をどうぞ。

FAQ

Q. 施工管理の仕事はなくなりますか? A. 少なくとも当面はなくなりません。 国の取組でも2025年度の自動施工は9件です。ただし配筋の出来形確認の画像解析遠隔臨場の検査への適用など、工程単位では確実に置き換わり始めています。

Q. 重機の免許は不要になりますか? A. 免許制度が変わるという話ではありません。 白書には、自動施工の導入により「重機免許を持つオペレーターの操作を不要化している」事例が、技術が資格・作業能力を補完する例として挙げられています。個別の現場での運用の話として理解してください。

Q. 中小の会社には関係ない話ですか? A. 2026年度のキーワードに「規模(企業・工事)に依らない普及」が挙げられています。 大手だけの話にしない方針が明示されているため、関係ないとは言えません。

Q. 何から準備すればいいですか? A. データを3次元で扱う体制と、書類のデジタル化です。国の方針でも、この2つが施工の自動化の土台になっています。まずは打合せ記録や日報のAI活用から始めるのが現実的だと思います。

Q. 現場の写真をAIに読ませてもいいですか? A. 発注者との契約や社内規程を確認してください。 工事情報の取扱いが定められている場合があります。判断を自分だけで行わないことをおすすめします。

Q. 中立の立場で「まだ焦らなくていい」と言えますか? A. 設備投資を急ぐ必要は、多くの会社ではまだないと思います。 一方で「原則化へ」という方向は明示されています。投資の前に、書類と記録のデジタル化から始めるのが順番として無理がありません。当サイトは建設事業者もAIツールも運営しておらず、提携の有無で評価を変えていません。

まとめ

  • 国は2024年4月にi-Construction 2.0を策定。ICT活用から「自動化」へ
  • 3本柱は施工/データ連携/施工管理のオートメーション化
  • 施工の自動化は1人のオペレーターが複数の建設機械を管理する形
  • 施工管理では配筋の出来形確認の画像解析遠隔臨場の検査への適用が進行
  • 2025年度は自動施工9件・遠隔施工41件。倍増したが規模はまだ小さい
  • 2026年度は**「AI活用」「規模に依らない普及」「原則化へ」**
  • 今できるのは記録・書類のデジタル化。図面や工事情報の入力可否は事前確認を

次に読む:職種別・AIで変わる仕事まとめAIに社内情報を入れていい?


※本記事は2026年8月12日時点の公表情報にもとづく解説です。件数は国の取組に関するもので、業界全体の普及状況を示すものではありません。

出典

最終更新:2026年8月12日/fondantAI編集部