主要なAIには、入力内容を学習に使わせない設定があります。 ただし、オフにすれば何も残らない、というわけではありません。
ここを取り違えたまま社内資料を入れてしまうのが、いちばん危ない状態です。この記事では、4社の設定場所を示したうえで、公式が「オフでもこうします」と書いている範囲を並べます。
この記事の要点
- 設定はどれも数クリック。場所は各社バラバラ
- 「学習に使わない」と「保存しない」は別の話
- Geminiはオフでも最長72時間保存、人間のレビューを含む利用があると明記
4社の設定場所
まず手順です。いずれも消費者向けプランの話です。
| サービス | 設定の場所 | 項目名 |
|---|---|---|
| ChatGPT | 設定 → データコントロール | Improve the model for everyone をオフ |
| Claude | 設定 → プライバシー | Help Improve our AI models をオフ |
| Gemini | Gemini アプリ アクティビティ | アクティビティの保存をオフ |
| Copilot | (設定不要) | モデル学習に使用しないと公式に明記 |
ChatGPTの設定はアカウント全体に適用され、デバイスを問いません。いつでも制限なく変更できます。Claudeも設定画面のトグルで切り替えるだけです(モバイルでも同じ経路)。
Copilotだけは、そもそも設定がありません。 Microsoftは、アップロードされたファイルの内容をモデルのトレーニングに使用しないと明記しています。
オフにしても残るもの
ここからが本題です。各社で扱いが違います。
ChatGPT:履歴には残る
学習をオフにしても、会話はチャット履歴に表示されたままです。学習に使われなくなるだけで、消えるわけではありません。
もうひとつ。メモリやパーソナライズ機能をオフにしても、安全機能までは無効になりません。 公式には、まれな高リスクの状況で、安全性に関わる限定的な文脈を使う場合があると書かれています。
Claude:すでに始まった学習からは抜けられない
ここは誤解されやすい部分です。 公式の記載はこうです。
- オフにすると、新しいチャットとコーディングセッションは将来の学習に使われない
- ただし、すでに開始されている学習と、学習済みのモデルには、データが含まれたまま
- 以前保存されたチャットは、今後の学習実行では使われなくなる
つまり、過去に遡って取り消すことはできません。 「あとで気づいてオフにする」では間に合わない部分がある、ということです。
さらに、安全性の分類器が会話をフラグした場合は、内部の信頼・安全モデルの改善、有害コンテンツの検出、ポリシーの執行、安全研究のために引き続き使われる場合があると明記されています。
Gemini:オフでも72時間、そして人間のレビュー
いちばん踏み込んで書かれているのがGoogleです。
- [アクティビティの保存] がオフでも、会話は最長72時間アカウントに保存される(サービス提供とフィードバック処理のため)
- [アクティビティの保存] がオフの場合や、一時的なチャットを使っている場合でも、Googleは応答の提供と、Google・利用者・一般の人々の保護のためにチャットを使用する
- この利用には、人間のレビュアーによるレビューが含まれる
「オフにしたから誰にも見られない」とは言えない、ということです。公式がそう書いています。
Copilot:学習には使わないが、保存はされる
Microsoftはモデル学習には使用しないとしつつ、共有されたファイルは最大18か月間保存されたのち自動的に削除されると説明しています。
「学習に使わない」と「保存されない」は別という、この記事で一番覚えて帰ってほしいことが、そのまま出ている例です。
🔍 編集部の本音 4社を並べて分かるのは、「学習オフ=無かったことになる」と書いている会社は1つもないということです。設定は必要ですが、それは「入れていい」の理由にはなりません。入れないほうがいいものは、設定に関係なく入れない。ここは変わりません。
一時チャットという選択肢
ChatGPTには、履歴に残さない一時チャットがあります。公式の説明は次のとおりです。
- 30日後にシステムから削除される
- モデルの学習には使われない
- 不正利用の監視のためにのみレビューされる場合がある
- 履歴に保存されず、メモリも作らない
一回きりの相談には向いています。ただし30日は保持されるうえ、監視目的のレビューはありうる、という前提です。
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ここまでは個人プランの話でした。仕事で使うなら、確認する順番が変わります。
- 所属先のルールを見る。 生成AIの利用規程、持ち出し禁止の範囲、承認された利用サービス。ここが最優先です
- どのプランかを確認する。 ChatGPTのTeam・Enterprise・Eduには追加のデータコントロールがあります。Claudeも、Claude for WorkやAPIは消費者向けとは扱いが別です。会社が契約したプランなら、個人の設定画面の話がそのまま当てはまるとは限りません
- 管理者に聞く。 上の2つで判断できないなら、そこで止めるのが正解です
「設定をオフにしたから大丈夫」と自分で判断しないでください。 判断できる立場かどうかが、まず先にあります。
設定より先に、渡すものを選ぶ
結局のところ、いちばん効くのは入力しないことです。
- 顧客名・個人が特定できる情報は、削るか置き換える
- 未公開の数字・契約書・他社から預かった資料は入れない
- 社名を「A社」に置き換えれば成立する相談は、実際とても多い
「競合A社が同じ市場でシェアを伸ばしている状況で、価格改定をどう考えるべきか」——この形にすれば、ほとんどの相談は固有名詞なしで成立します。
ファイルを渡すときの上限や仕様は、ChatGPT・Gemini・Copilotそれぞれの記事にまとめています。データの扱いの基本的な考え方はAIと個人情報・プライバシーへ。
FAQ
Q. 学習をオフにすれば、会話は消えますか? A. 消えません。ChatGPTは履歴に残ります。Copilotのファイルは最大18か月保存されます。Geminiはオフでも最長72時間保存されます。
Q. オフにすれば、過去の分も学習から外れますか? A. Claudeの公式には、すでに開始された学習や学習済みのモデルにはデータが含まれたままと書かれています。以後の学習実行では使われなくなります。
Q. 人間に読まれることはありますか? A. Geminiは、アクティビティの保存がオフでも人間のレビュアーによるレビューを含む利用があると明記しています。ChatGPTの一時チャットも、不正監視のためにレビューされる場合があるとされています。
Q. Copilotなら設定しなくていいですか? A. Microsoftはモデル学習に使用しないと明記しています。ただし保存はされます(最大18か月)。「学習に使わない」と「残らない」は別です。
Q. 会社のアカウントでも同じ設定ですか? A. 異なる場合があります。ChatGPTのTeam・Enterprise・Eduには追加のデータコントロールがあり、ClaudeもClaude for WorkやAPIは消費者向けとは別の扱いです。管理者に確認してください。
Q. 結局、社内情報は入れていいのですか? A. それを決めるのは所属先のルールです。 この記事で確認できるのは各社の仕様までで、可否の判断は規程と管理者に従ってください。判断がつかないなら、固有名詞を外して相談する形に置き換えるのが安全です。
まとめ
- 設定は各社にある。ChatGPT=データコントロール/Claude=プライバシー/Gemini=アクティビティの保存
- Copilotは設定不要(モデル学習に使用しないと明記)。ただし最大18か月保存
- ChatGPTはオフでも履歴に残る
- Claudeはオフにしても、すでに開始された学習からは抜けられない
- Geminiはオフでも最長72時間保存、人間のレビューを含む利用がある
- 仕事で使うなら、規程 → プラン → 管理者の順。設定は判断の代わりにならない
- 最後に効くのは、そもそも固有名詞を入れないこと
次に読む:AIと個人情報・プライバシー/事務職の仕事はAIでなくなる?
※各社のポリシーと設定画面の項目名は変更されることがあります。実際に設定する前に、各サービスの公式ヘルプで最新の内容をご確認ください。本記事は法的助言ではありません。業務での可否は所属先の規程に従ってください。
出典
- OpenAI公式ヘルプ「Data Controls FAQ」(2026年8月11日確認)
- Anthropic公式プライバシーセンター「How do I change my model improvement privacy settings?」(2026年8月11日確認)
- Google公式「Gemini アプリのアクティビティを管理、削除する」「Gemini アプリのプライバシー ハブ」(2026年8月11日確認)
- Microsoft公式「Microsoft Copilotでのファイルのアップロード」(2026年8月9日確認)
最終更新:2026年8月11日/fondantAI編集部
