マルチモーダルAIとは、文章だけでなく画像・音声・動画など、複数の種類の情報を扱えるAIのことです。 「モーダル」は情報の種類を指す言葉で、それが複数あるから「マルチ」モーダルです。写真を見せて質問する、話しかけて答えてもらう、といった使い方ができます。

ただし、「見える」ことと「正しく読み取れる」ことは別です。 この記事では、できることと同じくらい、間違えやすいところも具体的に扱います。

この記事の要点

  • 文章・画像・音声など複数の種類の情報を同時に扱える
  • 「画像の文字を読む」と「画像の内容を理解する」は別の作業。精度も違う
  • 苦手なのは「細かい文字」「正確な位置関係」「個数を数える」「微妙な色」

「モーダル」とは情報の種類

モーダルとは、文章・画像・音声・動画といった情報の種類のことです。

  • 文章だけを扱う → シングルモーダル
  • 複数の種類をまたいで扱う → マルチモーダル

文章を扱うLLM(大規模言語モデル)に、画像や音声を理解する力が加わったもの、と考えると分かりやすくなります。生成AI全体の中での位置づけは生成AIとは?へ。

できること

やりたいこと使い方の例
写真の内容を説明させる「この写真に何が写っているか教えて」
手書きのメモを文字にする会議のホワイトボードを撮って、テキストに起こす
図やグラフを読ませる「このグラフから読み取れる傾向を3つ」
画面のエラーを見せるエラー画面を撮って「原因と対処を教えて」
資料を撮って要約させる紙の資料を撮影し、要点を抽出
話しかけて答えてもらう手が離せないときの音声でのやり取り

音声の文字起こしから議事録までの流れはAIで議事録を作る方法でも扱っています。

「読む」と「理解する」は別

ここを分けて考えると、精度の差が納得できます。

文字を読み取る作業は、比較的安定しています。印刷された文書や、はっきり書かれた手書き文字なら、かなりの精度で文字にできます。

画像の内容を理解する作業は、これより不確かです。「この人は困っているように見えるか」「この配置は適切か」といった判断には、解釈が入ります。

つまり、「何が書いてあるか」は得意、「それをどう評価するか」は慎重に、という使い分けになります。

苦手な4つのこと

実際によく失敗するのは、次の4つです。

1. 細かい文字

小さく写った文字、かすれた文字、複雑な表の中の数字。読めているように見えて、別の数字に置き換わっていることがあります。 重要な数値は必ず原本と照合してください。

2. 正確な位置関係

「左から3番目」「上下の並び順」といった位置の把握は、意外と外します。間取り図や座席表、フローチャートを読ませるときは注意が必要です。

3. 個数を数える

写っているものの数を正確に数えるのは苦手です。 「この写真に何個ありますか」という質問は、もっともらしい数字が返ってくるものの、実際とずれていることがあります。

4. 微妙な色や質感

色の名前は答えられますが、微妙な色味の違いや質感の判断は不得意です。

いずれも、間違っていても自信のある口調で返ってくる点が厄介です(ハルシネーションとは?)。

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写真を渡すときのコツ

読み取りの精度は、渡し方でかなり変わります。

  • 明るいところで、まっすぐ撮る:斜めからの撮影や影は読み取りを難しくします
  • 1枚に1つの目的:複数の資料を1枚に詰め込まず、分けて撮ります
  • 何を知りたいかを添える:「この表の3行目の数字を教えて」のように、注目してほしい箇所を指定します
  • 拡大して撮る:全体を写すより、必要な部分を大きく写すほうが確実です
  • 答えを検算する:数値が絡む場合、合計や件数を自分で確認します

「何を見てほしいか」を言葉で添えるだけで、結果がはっきり変わります。

注意点

  • 写り込みに注意:書類の背景、机の上の他の資料、画面の通知。意図しない情報が一緒に送られていないかを確認してから送ってください。個人情報に関わる論点はAIと個人情報・プライバシーで扱っています
  • 対応している形式はサービスによる:扱える画像・音声の種類やサイズ、プランごとの制限は各社で異なります。公式情報でご確認ください
  • 業務利用のルール:社内の資料を撮影して送ってよいかは、所属先のルールに従ってください

なお、画像を「読む」のがマルチモーダルAI、画像を「作る」のが画像生成AIで、役割が異なります。作る側については画像生成AI比較へ。

FAQ

Q. 普通のチャットAIと何が違いますか? A. 文章だけでなく、画像や音声も入力として扱える点が違います。写真を見せて質問したり、話しかけて答えてもらったりできます。

Q. 手書きの文字も読めますか? A. はっきり書かれた文字であれば、かなりの精度で読み取れます。ただし、崩れた字や小さい字では誤りが増えます。読み取った結果は原本と照合してください。

Q. 精度は完璧ですか? A. 完璧ではありません。特に「細かい文字」「位置関係」「個数」「微妙な色」は苦手です。間違っていても自信のある口調で返ってくるため、重要な情報は必ず確認してください。

Q. どんなときに便利ですか? A. 紙やホワイトボードの内容をデータにしたいとき、図表の要点を早く知りたいとき、手が離せず音声で使いたいときなどです。

Q. 写真を送っても大丈夫ですか? A. 何が写り込んでいるかを確認してから送ってください。書類の背景や画面の通知など、意図しない情報が含まれることがあります。業務利用の可否は所属先のルールに従ってください。

まとめ

  • マルチモーダルAIは文章・画像・音声など複数の種類の情報を扱える
  • 「文字を読む」は得意、「内容を評価する」は慎重に。精度が違う
  • 苦手は「細かい文字」「位置関係」「個数を数える」「微妙な色」の4つ
  • 渡し方のコツは「明るく・まっすぐ・1枚1目的・注目箇所を指定」
  • 写り込みに注意。送る前に何が写っているか確認する

次に読む:生成AIとは?ハルシネーションとは?


※本記事はマルチモーダルAIの一般的な解説です。対応形式・機能・制限は各サービスの公式情報をご確認ください。

出典

  • 本記事は概念解説のため、外部の数値出典は用いていません
  • 各AIサービスの対応形式・仕様は各社公式情報

最終更新:2026年7月25日/fondantAI編集部