生成AIと著作権は、「①AIが学習する段階」と「②生成物を作って使う段階」の2つに分けて考えるのが、文化庁が示す基本的な整理です。 特に注意が必要なのは②で、AIで作ったものでも、既存の著作物に「似ていて(類似性)」「それを元にした(依拠性)」と認められれば、著作権侵害になり得ます。 この記事は法律の専門家でなくても分かるように、文化庁の考え方と、侵害を避けるための実務的な基本を整理します。
この記事の要点
- 論点は「学習段階」と「生成・利用段階」の2つに分けて考える
- 侵害の判断は「類似性(似ている)+依拠性(元にした)」がカギ
- AIが作ったからセーフ、ではない。使う人の責任で確認が必要
⚠️ 本記事は一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。制度や解釈は変わることがあり、個別の判断は文化庁の公式資料や弁護士等の専門家にご確認ください。
2段階で考える:学習段階と生成・利用段階
文化庁は、生成AIと著作権を大きく2つの段階に分けて考える枠組みを示しています。
| 段階 | 何が起きるか | 基本的な考え方 |
|---|---|---|
| ① 学習段階 | AIが大量のデータを学習する | 著作権法第30条の4により、情報解析目的での利用が一定の範囲で認められているとされます |
| ② 生成・利用段階 | できた生成物を公開・販売する | 既存の著作物と同じく、著作権侵害のリスクを判断する必要があります |
学習段階については「原則として認められる」とされてきましたが、2026年時点ではクリエイター側の懸念を受け、著作権者の利益を不当に害する場合の例外についての議論がより慎重になっています。実務で問題になりやすいのは、多くの場合②の生成・利用段階です。
侵害判断のカギ:「類似性」と「依拠性」
②の段階で著作権侵害かどうかを判断するとき、重要なのが次の2つです。
- 類似性:生成物が、既存の著作物と似ているか
- 依拠性:その既存の著作物を「元にして」作られたか
この2つがどちらも認められると、著作権侵害となり得るとされています。AIが作ったものであっても、この判断枠組みは人が作った場合と基本的に同じです。「AIが自動で作ったから責任がない」とはならない点に注意してください。
なお、日本では生成AIの著作権侵害に関する確定判決はまだ多くない状況(2026年時点)で、個別のケースの結論は今後の判例や議論で変わり得ます。
侵害を避けるための実務的な基本
法的助言ではありませんが、リスクを下げるために一般的に言われる予防策を挙げます。
- 特定の作家・作品名を狙って似せない:「〇〇風で」と特定の著作物を強く再現させる使い方はリスクが上がります
- 生成物をそのまま公開・販売する前に確認する:既存の作品と酷似していないか、逆画像検索などでチェックする
- 商用利用の条件を確認する:使うAIツールの利用規約で、生成物の商用利用が認められているか確認する(ツールにより条件が異なります)
- 重要な用途は専門家に相談する:ビジネスで大きく使う場合は、弁護士等に確認する
指示の出し方の基本はプロンプトの基本、生成AIそのものの仕組みは生成AIとは?で解説しています。
FAQ
Q. AIで作った画像やイラストに著作権はありますか? A. 一般に、単にAIが自動生成しただけのものは著作物と認められにくいとされますが、人の創作的な関与の程度により判断が分かれ得ます。個別の判断は専門家・公式資料でご確認ください。
Q. AIで作ったものを仕事で使っても大丈夫ですか? A. 使えますが、既存作品との類似や、ツールの利用規約(商用利用の可否)を確認してください。用途が大きいほど慎重に。
Q. 「〇〇風のイラスト」と指示するのは違法ですか? A. 直ちに違法とは言えませんが、特定の著作物を強く再現させるほど侵害リスクは上がります。避けるのが無難です。
Q. 学習に自分の作品が使われるのを止められますか? A. この点はまさに議論が続いている領域です。最新の動向は文化庁の公式情報で確認してください。
まとめ
- 生成AIと著作権は「学習段階」と「生成・利用段階」の2段階で考える
- 侵害判断のカギは「類似性+依拠性」。AIが作ってもこの枠組みは同じ
- 特定作品を似せない・公開前に確認・利用規約を確認、が実務の基本。重要な用途は専門家へ
※本記事は一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。著作権に関する制度・解釈は変更されることがあります。個別の判断は文化庁の公式情報や弁護士等の専門家にご確認ください。
出典
- 文化庁「AIと著作権に関する考え方」に関する解説(2026年時点の複数の専門メディア)
- 著作権法(e-Gov法令検索)
最終更新:2026年7月6日/fondantAI編集部