プロンプト(AIへの指示)は、「役割・前提・タスク・形式・制約」の5つの要素で組み立てると、ぐっと精度が上がります。 うまくいかないのは多くの場合、指示が短すぎて情報が足りないからです。特別なセンスは要りません。この記事では、コピーして使える基本の型と業務別の例文、そして思い通りにならないときの直し方を解説します。

この記事の要点

  • 良いプロンプト=「役割・前提・タスク・形式・制約」を伝えたもの
  • 短い指示には短い答え。情報を足すほど精度が上がる
  • うまくいかないときは「追加で伝える・分割する・例を見せる」で直る

プロンプトの基本の型(5要素)

要素役割
役割AIに立場を与える「あなたはプロの編集者です」
前提・背景状況を伝える「読者は非エンジニアの社会人です」
タスクやってほしいこと「この文章を要約してください」
形式出力の形「箇条書きで3点、各50字以内」
制約条件・禁止事項「専門用語は使わない」

全部を毎回そろえる必要はありませんが、「思ったのと違う」ときは、たいてい5要素のどれかが抜けています。

どれから足すか:優先順位がある

5つを毎回書くのは面倒です。効き目の大きい順があるので、上から足してください。

順位要素なぜ効くか
1形式出力の形が決まると、内容も自然に絞られる。「3つ」「200字」だけで結果が変わる
2制約やってほしくないことを1つ書くだけで、外れ方が激減する
3前提誰に向けたものかで、言葉づかいと情報量が決まる
4役割分野の言葉づかいが寄る。無くても成立することは多い
5タスクこれは必ず書いているはずのもの

「役割」から書き始める人が多いのですが、効き目は下から2番目です。 「あなたはプロの編集者です」と書くより、「300字以内で」と書くほうが、結果は大きく変わります。

プロンプトの5要素を効き目の順に並べた図。1位は形式、2位は制約、3位は前提・背景、4位は役割、5位はタスク。上の3つを足すだけで結果が大きく変わることを示す

曖昧な言葉を、数字と条件に変える

うまくいかない指示には、共通の癖があります。測れない言葉を使っていることです。

使いがちな言葉何に変えるか
いい感じに「誰向けに」「何を重視して」
わかりやすく「専門用語を使わず」「一文60字以内で」
簡潔に「200字以内で」「3点に絞って」
ちゃんと「必要な項目(〇〇・△△)を必ず入れて」
もっと詳しく「具体例を2つ足して」「数字を入れて」
自然に「話し言葉で」「敬語は使わず」

自分の指示を読み返して、測れない言葉があれば、そこが直しどころです。

そのまま使える例文

メール作成

あなたは営業担当です。初回商談後のお礼メールを作ってください。
相手は取引先の課長、商談は好感触でした。
丁寧・簡潔に、150字程度、です・ます調でお願いします。

要約

次の文章を、非エンジニアの上司向けに要約してください。
要点3つを箇条書きで、専門用語は避けてください。
(ここに文章を貼る)

アイデア出し

あなたはマーケターです。20代向けの新サービスの
キャッチコピーを10案出してください。
それぞれ20字以内、親しみやすいトーンで。

文章の改善

次の文章を、もっと分かりやすく書き直してください。
一文を短く、専門用語には説明を添えてください。
(ここに文章を貼る)

うまくいかないときの直し方

指示どおりにならないときは、次の順で直すと改善します。

  1. 足りない情報を追加する:「もっと短く」「相手は初心者」など、条件を足す
  2. タスクを分割する:一度に多くを頼まず、「まず構成→次に本文」と段階に分ける
  3. 例を見せる:「こういう感じで」と手本を1つ渡すと、AIが狙いを掴みやすくなる
  4. やり直しを頼む:「3案目をもっとカジュアルに」など、対話で調整する

AIとの対話は一発勝負ではありません。返ってきた答えを見て指示を足していくのが、うまく使うコツです。

よくある失敗プロンプトと直し方(Before → After)

「思ったのと違う」の原因は、たいてい5要素のどれかが抜けているだけです。ありがちな4パターンを、悪い例と直した例で見てみましょう。

① 丸投げしてしまう(役割・形式・制約が抜け)

Before:ブログ記事書いて なぜ薄い:テーマも読者も長さも決まっていないので、AIは無難で一般的な文章しか返せません。

After:あなたはWeb編集者です。「在宅ワークの集中術」について、非エンジニアの社会人向けに、見出し3つ+本文800字程度、やさしい"です・ます"調で書いてください。

② 相手(前提)を伝えていない

Before:この文章を要約して なぜ薄い:誰に向けた要約かで、残す情報も言葉づかいも変わります。

After:次の文章を、忙しい上司が30秒で読める形に要約してください。要点3つを箇条書き・各50字以内・専門用語は避けてください。(本文を貼る)

③ 制約が無く、ふわっとする

Before:AIについてわかりやすく説明して なぜ薄い:「わかりやすく」の基準がAIに伝わっていません。

After:AIとは何かを、中学生にもわかるように説明してください。身近な例えを1つ入れて、300字以内でお願いします。

④ 一度に詰め込みすぎる(タスク過多)

Before:記事の構成も本文も画像案も全部いっぺんに作って なぜ薄い:欲張ると、それぞれが中途半端になります。

After:まず記事の構成(見出し案)だけ作ってください。合意できたら、次に本文を書きます。(=分割して段階的に頼む)

コツは、うまくいかない出力を”失敗”と捉えず、「どの要素が抜けていたか」のヒントとして読むことです。抜けを1つ足すだけで、次の答えは見違えます。

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会話で詰める「追い指示」の型

最初の1回で完成させる必要はありません。返ってきたものを見て、方向を指定し直すほうが速い場面が多くあります。追い指示にも型があります。

直したいこと言い方
全体的に惜しい「3案目の方向で、もう少し具体的に」
長すぎる「同じ内容のまま、半分の長さに」
硬い/柔らかい「もう一段やわらかく。ただし敬語は保って」
何が違うか説明しにくい「いま出してもらったものの弱点を3つ挙げて」
前の方がよかった「1つ前の案に戻して、そこから〇〇だけ変えて」

4行目が効きます。 自分でも違和感の正体が分からないとき、AIに指摘させると言語化できます。

もう一つ、やり直しを頼むときは全部を作り直させないのがコツです。「そこだけ直して」と範囲を切ると、良かった部分が壊れません。

AIに頼んでも意味がない依頼

型を整えても結果が出ない場合、そもそも頼む内容が向いていない可能性があります。

  • 最新の事実を聞く:学習した時点以降の出来事は知りません。検索機能がない場合、それらしい答えが返ってきます
  • 自社の事情を前提にした判断:社内の経緯や人間関係を知らないため、一般論しか出せません
  • 正確な計算・集計:数値の処理は誤ることがあります。表計算ソフトで確認してください
  • 本人しか知らないこと:あなたの体験や意見は、AIには生成できません

この4つに当たる依頼は、プロンプトを工夫しても改善しません。 頼み方の問題か、頼む内容の問題かを見分けられると、無駄な試行錯誤が減ります。誤りが生まれる仕組みはハルシネーションとは?で解説しています。

型を自分用に育てる

うまくいったプロンプトは、その場で保存して使い回してください。 毎回ゼロから書いている人と、貯めている人では、半年後の速度が変わります。

保存するときは、変わる部分を【 】にしておきます。

あなたは【役割】です。
【前提:読み手・状況】
【タスク】をしてください。
形式:【長さ・形】
制約:【禁止事項】

この穴埋め表に自分の業務を入れたものを、5つほど手元に置いておくだけで十分です。用途別の完成形は用途別AIプロンプト集にまとめています。

FAQ

Q. 長いプロンプトほど良いのですか? A. 長さより「必要な情報が入っているか」です。役割・前提・形式・制約が伝わっていれば、簡潔でも精度は出ます。

Q. 毎回同じ指示を打つのが面倒です。 A. よく使うプロンプトはメモに保存して使い回すと効率的です。「型」を自分用にストックしていきましょう。

Q. 日本語と英語、どちらで指示すべきですか? A. 日本語で問題ありません。まずは普段の言葉で試してください。

まとめ

  • プロンプトは「役割・前提・タスク・形式・制約」の5要素で組み立てる
  • 足す順番は形式 → 制約 → 前提。「役割」から書き始めても、効き目は小さい
  • 測れない言葉(いい感じに・ちゃんと)を、数字と条件に置き換える
  • 思い通りにならないときは、追加・分割・例示・やり直しで直す
  • 「最新の事実・自社の事情・正確な計算・自分の体験」は、頼み方を変えても改善しない

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※AIツールの挙動は製品・バージョンにより異なります。まずは手元のツールで試しながら調整してください。

出典

  • プロンプト設計に関する一般的な公開情報

最終更新:2026年7月25日/fondantAI編集部