総務の主業務は、AIの効果が出やすい部類に入ります。
社内ヘルプデスクの効果実感は42.7%。 業務類型のなかで議事録・メール作成補助(72.3%)に次ぐ2位です。経理・財務(29.7%)や人事(23.5%)より高い。
そして総務にはもう一つ役割があります。 全社でAIを使えるようにするための、ルールと環境の整備です。
この記事の要点
- 社内ヘルプデスクは42.7%で2位(活用している企業のうち)
- 国の資料が示す導入ステップの「組織・基盤」は、総務の担当領域と重なる
- 起点は経営トップのメッセージ発信。現場の工夫だけでは進まない
⚠️ 以下は総務省「令和8年版 情報通信白書」データ集で確認した内容です(図表は2026年8月13日、業務類型のデータは2026年8月12日に確認)。
使う側としての総務
まず数字です。
| 業務 | 効果を感じる割合 |
|---|---|
| 議事録・メール作成補助 | 72.3% |
| 社内ヘルプデスク | 42.7% |
| 経理・財務 | 29.7% |
| 法務 | 28.8% |
| 人事 | 23.5% |
| 経営 | 20.1% |
※その業務で生成AIを活用している企業のうちの割合です。
総務が日常的に扱う「社内からの問い合わせ対応」と「議事録・文書作成」が、上位2つです。
問い合わせは型が決まっているものが多い。 「経費精算の締切はいつか」「この手続きの窓口はどこか」——こうした質問は、社内規程を読ませておけば返せる領域です。
| 業務 | AIとの相性 |
|---|---|
| 社内問い合わせの一次対応 | 高い(42.7%の領域) |
| 議事録・通知文の作成 | 高い(72.3%の領域) |
| 規程・マニュアルの検索 | 高い |
| 各種申請書の下書き | 高い |
| 備品・契約の管理台帳の整理 | 中 |
| 来客・電話対応 | 低い |
| 判断を伴う例外処理 | 低い |
| 社内の合意形成 | 低い |
整える側としての総務
ここからが本題です。 白書に掲載された「AI導入・活用による効果創出のステップ(イメージ)」という図に、組織として何を整えるべきかが段階別に示されています。
ステップ1:個人作業の効率化
全ての社員が汎用AIをパートナーとして活用し、日々の業務の質とスピードを向上させる段階です。作業例としてリサーチ・翻訳・アイデア出し・文書作成が挙げられています。
この段階で必要な「組織・基盤」が2つ。
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| ユースケースの創出・収集・周知 | 使い方を集めて共有する |
| 安心して活用できる環境・ルールの整備 | 何をしてよいかを決める |
どちらも総務の仕事と重なります。
そして起点が明記されています。 図では**「経営トップによる社内外へのメッセージ発信」**がステップ1の入口に置かれています。
🔍 編集部の本音 ここは総務の人にとって、使える材料だと思います。「現場が勝手に試す」ではステップ1に入れない、と国の資料が示しているわけです。上に動いてもらう必要があるという話を、自分の意見ではなく資料として持ち出せます。
ステップ2:一部プロセスに組み込む
自社の課題や成長戦略、AIの特性等を踏まえて生成AI活用戦略を定め、効果を見込める一部プロセスからAIを組み込んでいく段階です。
図では**「自社における生成AI活用戦略の明確化」が求められ、その際に人間の本質的役割、人間×生成AIのパートナーシップのあり方**を踏まえるとされています。
組織・基盤が4つに増えます。
| 項目 |
|---|
| 社内データ |
| 変革支援 |
| 人材育成 |
| ガバナンス |
ステップ1の「ルール整備」が、ここで「ガバナンス」に格上げされます。 そして人材育成が加わる。総務・人事の領域が明確に増えます。
ステップ3:全体をAI前提で最適化
社内・業界データで学習したAIがあらゆる業務プロセスに組み込まれ、バリューチェーン全体で生産性向上が実現する段階です。生成AI活用戦略は継続的に更新されるとされています。
図には**「完全自律プロセスの拡大」「AIによる提案・サジェスト」「出力結果の高度化」**と記載されています。
そして図の上部に、全体を貫く条件があります。
社内・業界独自データの整備や基幹システムとの連携等、投資判断を含む組織的な推進が求められていく
投資判断が要る、と明記されています。 現場の工夫の積み上げでは届かない領域だということです。
※この図は「イメージ」と題されたもので、特定企業の実装例ではありません。また、組織・基盤の項目が総務部門を名指ししているわけでもありません。担当領域が重なるという整理は編集部によるものです。
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1. ルールを1枚にする
「安心して活用できる環境・ルールの整備」が、ステップ1の要件です。
- 何を入力してよいか/いけないか(判断軸はAIに社内情報を入れていい?)
- どのツールを使うか
- 困ったときの相談先
完璧な規程を作ろうとしないでください。 まず1枚で足ります。
2. 使い方を集めて配る
「ユースケースの創出・収集・周知」も要件に挙がっています。
うまくいった使い方を集めて、社内に流す。 これは総務が最もやりやすい仕事です。
3. 自分の業務で先に試す
社内問い合わせの一次対応(42.7%)と議事録(72.3%)——総務自身が効果の出やすい領域を持っています。
説得材料は、自部門の実績が一番強いと思います。
4. 履歴とデータの扱いを決めておく
ルールを作るなら、履歴の保存期間や削除の方法も含めてください。 各社の仕様はAIの履歴・データを削除する方法にまとめています。
社内での進め方は社内でAI推進役になる方法、経営層への説明は経営企画の仕事はAIでどう変わる?も参考になります。
FAQ
Q. 総務の仕事はAIに置き換わりますか? A. 一次対応や文書作成は明確に効きます(社内ヘルプデスク42.7%、議事録・メール72.3%)。一方で例外処理の判断や社内の合意形成は残ります。 また、全社でAIを使えるようにする整備の仕事は増えます。
Q. 何から手を付ければいいですか? A. ルールを1枚にすることです。国の資料でも、ステップ1の要件に「安心して活用できる環境・ルールの整備」が挙げられています。完璧を目指さず、まず配れる形に。
Q. 現場から始めても進みますか? A. 図ではステップ1の起点が「経営トップによる社内外へのメッセージ発信」とされています。 現場の工夫だけでは限界がある、という前提で動くほうが現実的です。
Q. どの段階を目指すべきですか? A. 多くの組織はステップ1〜2の途上だと思います。ステップ3には**「投資判断を含む組織的な推進」**が必要と明記されており、順番を飛ばせる話ではありません。
Q. 人事とどう分担しますか? A. ステップ2の組織・基盤には**「人材育成」と「ガバナンス」**が並んでいます。育成は人事、ルールと環境は総務という切り分けが自然だと思いますが、組織によって異なります。
Q. 中立の立場で「導入しなくていい」と言うこともありますか? A. あります。ルールがない状態で全社展開すると、事故が起きたときに止められません。 当サイトはAIツールを運営しておらず、提携の有無で評価を変えていません。順番としては、ルール1枚と自部門での実績が先です。
まとめ
- 社内ヘルプデスクは42.7%で業務類型の2位(活用している企業のうち)
- 総務は使う側であり、同時に整える側
- 導入ステップ1の要件はユースケースの創出・収集・周知と安心して活用できる環境・ルールの整備
- ステップ1の起点は経営トップによるメッセージ発信
- ステップ2では組織・基盤が社内データ・変革支援・人材育成・ガバナンスの4つに
- ステップ3には投資判断を含む組織的な推進が必要
- 始めるならルール1枚 → 使い方の共有 → 自部門で実績
次に読む:職種別・AIで変わる仕事まとめ/社内でAI推進役になる方法
※本記事は2026年8月13日時点の公表データにもとづく解説です。図は「イメージ」として示されたもので、特定企業の実装例ではありません。
出典
- 総務省「令和8年版 情報通信白書 データ集」(2026年8月13日確認)
最終更新:2026年8月13日/fondantAI編集部
