統計検定は、番号が小さいほど難しい試験ではありません。 合格に必要な点数を見ると、3級は65点、2級は60点。3級のほうが高いのです。
さらに合格率では、統計調査士が27.9%で2級(46.1%)より低く、名前が上に見える専門統計調査士は75.6%。名前の順と難易度は一致しません。
この記事の要点
- 種別は全10種。番号の級とDS系、調査士系で性格が違う
- 合格水準は60〜70点でバラバラ。統計調査士の70点が最も高い
- AI・データ分析を狙うなら、入口は2級かDS発展
⚠️ 以下は2026年8月12日に統計検定公式サイトで確認した情報です。受験料・試験制度は変更されることがあります。
そもそも統計検定とは
日本統計学会公式認定の資格試験です。実施は一般財団法人統計質保証推進協会で、総務省・文部科学省・経済産業省・内閣府・厚生労働省が後援しています。
受験方式は2つに分かれます。
| 方式 | 対象 | 特徴 |
|---|---|---|
| PBT方式(紙) | 1級のみ(統計数理・統計応用) | 年1回。次回は2026年11月15日(日) |
| CBT方式(PC) | 1級以外のすべて | 会場と日程を選んで随時受験 |
1級だけが年1回の紙試験です。それ以外はパソコンで、都合のよい日に受けられます。CBTは株式会社オデッセイコミュニケーションズが運営しており、同社アカウントの登録(無料)をしてから、試験会場に直接申し込みます。
10種別を一覧で比べる
受験料・試験時間・合格水準・2025年の合格率をまとめました。
| 種別 | 受験料(一般/学割) | 時間 | 合格水準 | 合格率(2025) |
|---|---|---|---|---|
| 1級「統計数理」 | 8,000円 | 90分 | 公開していません | — |
| 1級「統計応用」 | 8,000円 | 90分 | 公開していません | — |
| 準1級 | 8,000/6,000円 | 90分 | 60点以上 | 34.7% |
| 2級 | 7,000/5,000円 | 90分 | 60点以上 | 46.1% |
| 3級 | 6,000/4,000円 | 60分 | 65点以上 | 54.2% |
| 4級 | 5,000/3,500円 | 60分 | 60点以上 | 64.5% |
| 統計調査士 | 7,000/5,000円 | 60分 | 70点以上 | 27.9% |
| 専門統計調査士 | 10,000/8,000円 | 90分 | 65点以上 | 75.6% |
| DS基礎 | 7,000/5,000円 | 90分 | 60点以上 | 66.2% |
| DS発展 | 6,000/4,000円 | 60分 | 60点以上 | 61.5% |
| DSエキスパート | 8,000/6,000円 | 90分 | 60点以上 | 23.4% |
※合格率は公式「過去の受験データ」の2025年の値。1級はこの表に含まれていません。
注目すべき点が3つあります。
- 3級の合格水準(65点)は、2級・準1級(60点)より高い
- 統計調査士は70点以上で、全種別のなかで最も高い
- DSエキスパートは合格率23.4%。1級を除けば最も低い
🔍 編集部の本音 「2級を取ったから次は準1級」という進み方は自然ですが、統計調査士を軽く見て受けると落ちます。 合格率は2級の半分強です。名前や番号でなく、合格水準と合格率で選んでください。 公式が数字を全部出してくれているので、判断材料は揃っています。
「級」と「調査士」と「DS」は別の物差し
同じ統計検定でも、測っているものが違います。公式の定義を並べると、性格の違いがはっきりします。
級(1〜4級)=統計学そのもの
| 種別 | 公式の定義 |
|---|---|
| 1級 | 実社会の様々な分野でのデータ解析を遂行する統計専門力 |
| 準1級 | 統計学の活用力 ─ 実社会の課題に対する適切な手法の活用力 |
| 2級 | 大学基礎統計学の知識と問題解決力 |
| 3級 | データの分析において重要な概念を身に付け、身近な問題に活かす力 |
2級が「大学基礎統計学」と定義されているのが、位置づけを理解する鍵です。ここが実務で使う統計の土台になります。
調査士系=統計の「調べ方」
- 統計調査士:統計に関する基本的知識と利活用
- 専門統計調査士:調査の実施に関する専門的知識の修得とデータの利活用
公的統計や調査業務に関わる人向けの物差しです。統計学の計算力を測るものではありません。AI・機械学習を目指す人には、優先度は高くないと思います。
DS系=データサイエンス
ここが最も誤解されやすい部分です。3つとも中身が違います。
| 種別 | 公式の定義 |
|---|---|
| DS基礎 | データセットをPC上に提示し、解析手法を選択し、表計算ソフトExcelによるデータの前処理から解析の実践、出力から必要な情報を読み取る一連の能力 |
| DS発展 | **数理・データサイエンス・AI教育強化拠点コンソーシアムの「リテラシーレベル」**のモデルカリキュラムに準拠 |
| DSエキスパート | 同**「応用基礎レベル」**のモデルカリキュラムを含む内容 |
DS基礎はExcelの実技試験です。 知識問題ではありません。だからこそ、DS基礎だけは電卓を持ち込めません(後述)。
DS発展とDSエキスパートは、国の教育プログラムの水準に対応しています。 大学のリテラシーレベル/応用基礎レベルの内容が、そのまま基準になっているということです。
DS検定とは別の試験です
混同されやすいので明記します。 統計検定の「DS基礎・DS発展・DSエキスパート」と、データサイエンティスト協会の「DS検定」は、主催団体も内容も別の試験です。
DS検定についてはDS検定とは?で解説しています。
AI・データ分析を目指すならどれを選ぶか
目的から逆算するのが早いです。
| 目的 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 統計の土台を作りたい | 2級 | 「大学基礎統計学」=実務の基礎。合格率46.1% |
| Excelでの実務力を示したい | DS基礎 | Excel実技。合格率66.2%と入りやすい |
| 大学水準のDS知識を証明したい | DS発展 | リテラシーレベル準拠。60分・6,000円と軽い |
| 機械学習まで踏み込みたい | 準1級 | 手法の活用力。ただし合格率34.7% |
| 腰を据えて上を目指す | DSエキスパート | 応用基礎レベル。合格率23.4%の難関 |
| 公的調査の仕事に就きたい | 統計調査士 | ただし合格水準70点。侮らないこと |
多くの人にとっての現実的な入口は、2級かDS発展だと思います。 DS発展は60分・6,000円と負担が軽く、合格率も61.5%。まず1つ通して勢いをつけたいなら、こちらから入るのも良い選択です。
AI系の他の資格との位置関係はAI資格の難易度ランキング、データサイエンティストという職種そのものはデータサイエンティストになるには?にまとめています。
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公式に明記されている、意外と知られていない条件です。
電卓のルール
| 持ち込める | 持ち込めない |
|---|---|
| 四則演算(+−×÷)、百分率(%)、**平方根(√)**ができる普通電卓・事務用電卓 | 関数電卓・プログラム電卓・グラフ電卓・金融電卓 |
| 紙のメモ帳/電子メモパッド付の電卓 | |
| 電卓機能を持つ携帯端末 |
- 机の上に出せるのは1台まで
- 会場での貸し出しはありません
- DS基礎は、そもそも電卓を持ち込めません
平方根(√)が使える電卓かどうかは、事前に確認してください。 標準偏差の計算で必要になります。
統計数値表が配られる種別
準1級・2級・3級・DS発展・DSエキスパートでは、解答に必要な統計数値表が会場で配布され、試験終了後に回収されます。
逆に言えば、4級・統計調査士・専門統計調査士・DS基礎には、この記載がありません。 数値表を前提とした学習をしている場合は、自分の受ける種別を確認してください。
計算用紙はラミネート加工のものと専用の筆記用具が配られます。紙に書いて残すことはできません。
合格率は動いている
過去3年の推移です。制度や出題の変化を読むために載せます。
| 種別 | 2023 | 2024 | 2025 |
|---|---|---|---|
| 準1級 | 35.3% | 35.5% | 34.7% |
| 2級 | 49.1% | 48.1% | 46.1% |
| 3級 | 53.9% | 56.5% | 54.2% |
| 4級 | 81.8% | 78.6% | 64.5% |
| 統計調査士 | 64.4% | 22.9% | 27.9% |
| 専門統計調査士 | 71.7% | 76.7% | 75.6% |
| DS基礎 | 62.3% | 65.9% | 66.2% |
| DS発展 | 64.6% | 65.5% | 61.5% |
| DSエキスパート | 30.0% | 20.7% | 23.4% |
統計調査士が2023年の64.4%から2024年に22.9%へ落ちています。 公式に理由の説明はないため、ここでは事実のみを示します。古い記事の「合格率6割超」という記述を信じないでください。
準1級・2級はほぼ横ばいで安定しています。この2つは、過去問の傾向がそのまま使えると考えてよさそうです。
FAQ
Q. どの級から受けるべきですか? A. 統計を仕事に使いたいなら2級が実質的な入口です。「大学基礎統計学」と公式に定義されています。まず1つ合格して弾みをつけたいなら、60分・6,000円のDS発展も選択肢になります。
Q. 3級のほうが2級より合格水準が高いのはなぜですか? A. 公式に理由の記載はありません。 事実として、3級は65点以上、2級は60点以上です。ただし合格率は3級54.2%、2級46.1%で、実際には2級のほうが低い結果になっています。
Q. 統計調査士は取る価値がありますか? A. 公的統計や調査の実務に関わるなら価値があります。 ただしAI・機械学習の方向を目指すなら、優先度は2級やDS系より下がると思います。合格水準70点、合格率27.9%と負担も小さくありません。
Q. いつ受験できますか? A. 1級以外はCBT方式で、会場と日程を選んで受験できます。 1級のみPBT方式(紙)で、次回は2026年11月15日(日)です。
Q. 独学で合格できますか? A. 3級・4級・DS発展までは独学が現実的だと思います。準1級・DSエキスパートは合格率が2〜3割台なので、教材だけで詰まるようなら講座を検討する価値があります。判断の考え方はG検定は意味ある?の記事でも整理しています。
Q. 中立の立場で「受けなくていい」と言うこともありますか? A. あります。すでに実務でデータ分析をしていて成果を語れる人には、資格は不要な場合が多いです。当サイトは試験団体もスクールも運営しておらず、提携の有無で評価を変えていません。資格を経歴にどう活かすかはAI人材の職務経歴書の書き方を参考にしてください。
Q. 団体で受けられますか? A. 20名以上の申込者から団体受験制度を利用できます。 一般会場と特設会場(申し込んだ教育機関や企業に設置)で受験でき、割引率は実施方法ごとに異なります。
まとめ
- 統計検定は全10種別。1級のみ紙(年1回)、それ以外はCBTで随時
- 合格水準はバラバラ。3級65点、統計調査士70点、他は60点。1級は非公開
- 2025年の合格率は準1級34.7%・2級46.1%・統計調査士27.9%・DSエキスパート23.4%
- 名前の順に難しくはならない。専門統計調査士は75.6%
- DS基礎はExcelの実技で、電卓を持ち込めない
- DS発展・エキスパートは国のモデルカリキュラム準拠。DS検定(別団体)とは別物
- 入口は2級、軽く始めるならDS発展
次に読む:AI資格の難易度ランキング/G検定対策は独学?講座?
※本記事は2026年8月12日時点の公式情報にもとづきます。受験料・試験制度・日程は変更されることがあります。最新の情報は統計検定公式サイトでご確認ください。
出典
- 統計検定公式「検定種別の目安」(2026年8月12日確認)
- 統計検定公式「統計検定準1級〜4級・調査士系・データサイエンス(DS)系 試験要項」(2026年8月12日確認)
- 統計検定公式「過去の受験データ」(2026年8月12日確認)
最終更新:2026年8月12日/fondantAI編集部
