この2つは、まったく別の制度です。 名前が似ているので混同されますが、所管する省庁も、お金の流れも、転職が必要かどうかも違います

そして選び方は「どちらが得か」ではありません。自分がどちらの対象かで、ほぼ決まります。この記事では違いを一次情報で並べたうえで、3つの質問で判定できるようにします。

この記事の要点

  • 経産省の補助金=最初から安い価格。厚労省の給付金=いったん払って後から戻る
  • 経産省側は転職が必須(しかも事業経由の職業紹介に限定)。厚労省側は転職不要
  • 離職中なら厚労省一択。 経産省側は在職者が対象

まず全体の違い

経産省 リスキリング補助金厚労省 教育訓練給付金
正式名称リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業教育訓練給付金
窓口補助事業者(民間)ハローワーク
お金の流れ最初から安い価格で受講いったん全額払い、後から支給
補助・給付を受ける人事業者(結果として受講者の負担が軽くなる)本人
転職必須(事業経由の職業紹介による転職)不要
対象者在職者で雇用主が変わる転職を目指す人雇用保険の被保険者期間などの要件を満たす人
離職中対象外条件を満たせば利用可
率・上限最大70%56万円(税別ベース)最大80%・年間64万円(専門実践)
期限2027年3月末までの継続予定恒久制度
講座の探し方公式の補助事業者検索教育訓練講座検索システム

いちばん効く違いは「立て替えの有無」

率の差より、手元のお金の話です。

経産省の補助金は、補助されるのが事業者なので、受講者は最初から軽減された価格で受けられます。立て替えは不要です。

厚労省の給付金は、受講料をいったん全額支払い、修了後に申請して支給を受ける形です。30万円の講座なら、まず30万円を用意する必要があります。

「率は高いが先に払えない」なら、そもそも選べません。 ここを先に考えてください。

経産省 リスキリング補助金の中身

段階補助額条件
受講を修了受講費用(税別)の1/2・上限40万円講座の修了
転職(追加)受講費用(税別)の1/5・上限16万円転職+その後1年間の継続就業

追加分の「転職」には定義があります。 補助事業で実施された職業紹介による転職、または転職支援を実施する職業紹介事業者が自社で雇用する転職に限られます。自力で決めた転職は当てはまりません。

使う手順はリスキリング補助金の使い方、期限の逆算はリスキリング補助金はいつまで?にまとめています。

厚労省 教育訓練給付金の中身

こちらは3種類あり、講座がどれに指定されているかで率が変わります(令和6年10月以降に開講する講座の場合)。

専門実践教育訓練(最大80%)

中長期的なキャリア形成に資する訓練が対象です。段階的に上がっていきます。

段階給付率条件
受講中50%(年間上限40万円)6か月ごとに支給
修了後70%(年間上限56万円)との差額資格取得等修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用
さらに80%(年間上限64万円)との差額上記に加え、修了後の賃金が受講開始前より5%以上上昇

80%に届くには、資格を取り、就業し、賃金が上がる必要があります。 詳しくは専門実践教育訓練給付金とは?へ。

特定一般教育訓練(最大50%)

速やかな再就職・早期のキャリア形成に資する訓練が対象です。

  • 40%(上限20万円)を訓練修了後に支給
  • 資格取得等修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された場合、50%(上限25万円)との差額

一般教育訓練(20%)

その他の訓練が対象です。20%(上限10万円)が訓練修了後に支給されます。

受給できるかどうかは雇用保険の加入期間などで決まります。教育訓練給付金の受給条件は?で確認してください。

🔍 編集部の本音 「最大80%」と「最大70%」を並べて比べるのは、あまり意味がありません。80%は資格取得・再就職・賃金5%上昇まで達成した場合の話で、多くの人が実際に受け取るのは50%の段階です。数字の大きさより、自分がどの条件まで満たせるかで見てください。

3つの質問で判定する

上から順に答えてください。

Q1. いま在職中ですか?

  • いいえ(離職中)厚労省の教育訓練給付金です。経産省の補助金は在職者が対象で、離職中は使えません。なお、失業状態で初めて専門実践教育訓練(通信制・夜間制を除く)を受ける場合、受講開始時に45歳未満などの要件を満たせば、生活を支える教育訓練支援給付金が別途あります
  • はい → Q2へ

Q2. 雇用主が変わる転職をするつもりですか?

  • いいえ(同じ会社でスキルアップしたい/まだ決めていない) → 厚労省の教育訓練給付金です。経産省の補助金は転職が前提の制度です
  • はい → Q3へ

Q3. 受講料をいったん全額払えますか?

  • 払えるどちらも候補です。講座がどちらの指定を受けているかで選びます。同じ講座が両方の対象とは限りません
  • 払うのが厳しい経産省の補助金が現実的です。最初から軽減された価格で受けられます

Q1・Q2で厚労省側になった人は、率の比較をする必要がありません。 そもそも経産省側の対象ではないからです。制度の全体像はAI講座で使える給付金・補助金の全体マップで確認できます。

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両方使えるのか

よくある質問ですが、ここは断定できません。

2つは所管も仕組みも異なる別制度です。同じ講座で両方の対象になるのか、併用が認められるのかについて、公式に明確な記載を確認できませんでした。

該当しそうな場合は、申込先の事業者と、住所地を管轄するハローワークの両方に確認してください。 片方だけの回答で判断すると、後から食い違うことがあります。

期限の差も判断材料になる

見落とされがちですが、急ぐ理由があるのは経産省側だけです。

  • 経産省の補助金:令和8年度末=2027年3月末までの継続予定。事業者の公募は六次公募で終了し、七次は未定
  • 厚労省の給付金恒久制度。急ぐ必要はない

つまり、迷っているうちに消えるのは経産省側ということです。とはいえ、期限を理由に合わない講座を選ぶのは本末転倒です。講座選びは給付金・補助金対象の生成AIスクール比較で、制度とは切り離して検討してください。

FAQ

Q. 結局どちらが得ですか? A. 率だけなら厚労省の専門実践(最大80%)ですが、80%は資格取得・再就職・賃金5%上昇まで満たした場合です。一方、経産省側は立て替えが不要という別の利点があります。得かどうかは条件を満たせるかで変わります。

Q. 離職中でも使えますか? A. 経産省の補助金は対象外です。厚労省の給付金は条件を満たせば利用できます。

Q. 転職する予定がなくても使えますか? A. 厚労省の給付金は転職不要です。経産省の補助金は転職が前提なので使えません。

Q. 受講料を先に払う必要がありますか? A. 厚労省の給付金はいったん全額支払い、修了後に支給されます。経産省の補助金は最初から安い価格です。

Q. 申請はどこでしますか? A. 厚労省の給付金は住所地を管轄するハローワーク、経産省の補助金は補助事業者が窓口です(個人の申請はありません)。

Q. 対象講座はどこで探せますか? A. 厚労省は教育訓練講座検索システム、経産省は公式サイトの補助事業者検索です。同じ講座が両方に載っているとは限りません。

まとめ

  • 別制度。 省庁も窓口もお金の流れも違う
  • 経産省=最初から安い/厚労省=いったん払って後から戻る
  • 経産省は転職が必須(事業経由の職業紹介)、厚労省は転職不要
  • 離職中なら厚労省一択
  • 率は厚労省の専門実践が最大80%だが、条件をすべて満たした場合の数字
  • 期限があるのは経産省側だけ(2027年3月末予定)。厚労省は恒久制度
  • 併用の可否は公式に明記がない。 事業者とハローワークの両方に確認する

次に読む:リスキリング補助金の使い方AI講座で使える給付金・補助金の全体マップ


※制度の数値・要件は改正されることがあります。申込前に必ず厚生労働省事業公式サイトおよびハローワーク・申込先事業者で最新情報をご確認ください。

出典

最終更新:2026年8月11日/fondantAI編集部