生成AIは、データの要約・傾向の説明・グラフの提案までを言葉で頼めます。専門知識がなくても、分析の入口には立てます。 ただし、AIが出した数字をそのまま報告に使うのは危険です。集計は間違うことがあり、しかも自信のある口調で返ってきます。この記事では、進め方と、結果を自分で確かめる方法をセットで解説します。

この記事の要点

  • 渡す前の準備(列の説明・個人情報の除去)で、分析の質がほぼ決まる
  • AIの集計は合計・件数・最大最小の3点で検算する
  • 「関係がある」と「原因である」は別。ここを混同すると報告が破綻する

ステップ0:渡す前にデータを整える

いきなり貼らず、3つだけ手を入れます。ここを飛ばすと、あとの工程がすべて空回りします。

  • 列が何を表すか説明を用意する:「col_3」ではAIに意味が分かりません。「col_3=税抜の販売単価(円)」のように添えます
  • 個人情報を落とす:氏名・連絡先・個人が特定できるIDは削るか置き換えます。入力してよい情報かは所属先のルールと関連法令に従ってください
  • 行数を絞る:全件でなく、直近3か月分など目的に足りる範囲にします。量が多いほど処理が雑になりやすく、扱える上限もサービスやプランで異なります

ステップ1:知りたいことを先に決める

「分析して」と頼むと、当たり障りのない要約が返ってきます。問いを持ってから渡すのが要点です。

添付のデータについて分析してください。 知りたいこと:どの商品カテゴリの売上が落ちているか、いつから落ちているか 列の意味:日付=受注日/商品名=商品カテゴリ/金額=税抜売上(円) 用途:来月の仕入れ計画の判断材料

用途まで書くと、出力の粒度が変わります。「報告用」なら整理された文章に、「判断用」なら比較と差分に寄ります。指示の型はプロンプトの基本にまとめています。

ステップ2:全体→部分の順で聞く

一度に深いところまで聞かず、段階を踏みます。

  1. 全体像:「このデータ全体の傾向を、事実だけで5行にまとめてください」
  2. 気になる点:「その中で、他と動きが違う項目を3つ挙げてください」
  3. 深掘り:「その項目について、月別の推移を表にしてください」
  4. 可視化の提案:「この傾向を伝えるのに向くグラフの種類と、その理由を教えてください」

1でいきなり「原因は?」と聞かないこと。 原因を聞かれたAIは、データにない理由でも埋めてきます。

ステップ3:3点で検算する

ここが、この記事でいちばん大事な工程です。AIの集計結果は、次の3つだけ自分で確かめます。

確かめる項目見つかる誤り
合計行の読み飛ばし、単位の取り違え(千円/円)
件数(行数)一部だけを対象に集計していた、重複の二重計上
最大値と最小値外れ値の除外、日付範囲のずれ

この3つが自分の手元の集計と一致すれば、他の数字もおおむね信頼できます。逆に1つでもずれていたら、その分析はすべて捨てて渡し直します。 表計算ソフト側での確認方法はExcel作業をAIで効率化する方法が使えます。

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ステップ4:相関と因果を切り分ける

「Aが増えるとBも増える」は、「AがBの原因」を意味しません。分析の報告でいちばん多い事故がここです。

AIに次のように聞くと、自分の思い込みが見えます。

この2つの数値に関係が見えますが、因果関係と言い切れますか。 他に説明できる要因を3つ挙げてください。

たとえば「広告費を増やした月は売上が高い」ように見えても、その月が繁忙期だっただけかもしれません。広告と売上の両方を押し上げていた別の要因——ここでは季節——が隠れているわけです。この「第三の要因」を先に潰してから、はじめて示唆として書けます。

マーケティングの現場での使いどころはマーケターの仕事はAIでどう変わる?で扱っています。

AIと表計算ソフトの分担

やること向いている道具理由
正確な集計・関数計算表計算ソフト計算結果が再現し、検算できる
大量データの処理表計算ソフト・BIツール件数の上限がAI側にある
傾向の言語化・要約AI文章にするのが速い
グラフの種類の選択AI目的に合う型を提案できる
作図そのもの表計算ソフト数値と図がずれない
報告文の下書きAI構成から用意できる

**「計算は表計算、説明はAI」**が、いまのところ安全な線引きです。

FAQ

Q. ExcelやBIツールの代わりになりますか? A. 代わりにはなりません。正確な集計と大量データの処理は表計算ソフトやBIツールが向きます。AIが強いのは、出た数字を言葉にする部分と、どう見せるかの提案です。

Q. グラフも作ってもらえますか? A. 「どんなグラフが向くか」の提案は得意です。作図機能を持つサービスもありますが、対応範囲は各社の公式情報をご確認ください。数値と図がずれないよう、最終的な作図は手元のソフトで行うのが確実です。

Q. 分析結果をそのまま報告に使えますか? A. 合計・件数・最大最小の3点を検算してからにしてください。加えて、因果を断定していないかを確認します。この2つを通せば、下書きとして十分使えます。

Q. 顧客データを貼ってもいいですか? A. 個人情報の取り扱いは所属先のルールと関連法令に従ってください。氏名や連絡先は削るか置き換え、分析に必要な列だけを渡すのが基本です。関連する論点はAIと個人情報・プライバシーで扱っています。

まとめ

  • 渡す前に列の説明・個人情報の除去・行数の絞り込み。ここで質が決まる
  • 問いと用途を先に伝える。「分析して」だけでは当たり障りのない要約になる
  • 合計・件数・最大最小の3点で検算。1つでもずれたら結果ごと捨てる
  • 「関係がある」と「原因である」を分ける。両方を動かしている別の要因を先に潰す
  • 計算は表計算ソフト、説明はAI、という分担が安全

次に読む:Excel作業をAIで効率化する方法プロンプトの基本ChatGPTのデータ分析機能


※各AIサービスの対応ファイル形式・データ量の上限は変更されることがあります。最新の仕様は公式情報をご確認ください。

出典

  • 本記事は制度・料金・統計を扱わないため、外部の数値出典は用いていません
  • 各AIサービスの対応ファイル形式・データ量の上限は各社公式情報

最終更新:2026年7月25日/fondantAI編集部