求人票に応募が来ない原因は、たいてい文章力ではありません。情報が足りていないことです。

だからAIに「魅力的な求人票を書いて」と頼んでも、応募は増えません。足りない情報が、それらしい表現で埋められるだけだからです。

そして書く前に知っておくべき制約が1つあります。募集・採用における年齢制限は、法律で禁止されています。 例外事由に当たる場合を除いて設定できません。AIは頼めば「35歳以下」と書きますが、そのまま出すと求人媒体の掲載基準で弾かれます。

この記事の要点

  • AIには**「足りない項目」を指摘させる**
  • 年齢制限は原則禁止(例外事由は6つ)
  • 給与・時間・業務内容の事実部分は人が確定させる

応募が集まらないときに欠けているもの

求職者が知りたいのに、多くの求人票に書かれていない項目があります。

欠けやすい項目求職者が知りたいこと
1日の流れ実際に何時に何をするのか
配属先の人数と構成何人のチームか、年齢層は
入社後3か月にやること最初に任される具体的な仕事
残業の実態平均何時間か、繁忙期はいつか
評価とキャリアの道筋どうなったら給与が上がるのか
未経験可の中身何ができれば応募していいのか

「アットホームな職場です」を10行書くより、この6項目を3行ずつ書くほうが応募は増えます。 求職者は、応募するかどうかを判断するための材料を探しているからです。

AIの正しい使い方

清書させる前に、足りない項目を指摘させます。

以下は当社の求人票の下書きです。
応募を検討している求職者の立場で読んだとき、
判断するために必要なのに書かれていない情報を挙げてください。

- 重要度の高い順に10個
- それぞれ「なぜ必要か」を一言で
- まだ文章は書かないでください

[下書きを貼る]

返ってきた指摘に、自分で答えを書き足します。 ここが人の仕事です。AIは、社内の実態を知りません。

指摘のうち、答えられないものが出てきたら、それは社内で確認すべきことです。「残業は月平均何時間か」に答えられないまま求人票を出すと、入社後に必ず問題になります。

手順

ステップ1:事実を先に固める

AIに渡す前に、次の項目を確定させてください。

  • 給与(下限と上限、固定残業代の有無と時間数)
  • 勤務時間、休日、残業の実態
  • 業務内容(実際にやること)
  • 応募資格(必須と歓迎を分ける
  • 選考の流れと期間

この5つは、AIが決めてよい部分がありません。 事実だからです。

ステップ2:足りない項目を指摘させる

前述のプロンプトを使います。

ステップ3:埋めてから清書させる

以下の情報で求人票を作成してください。

■職種:[ ]
■読み手:[未経験者/経験者]
■構成:仕事内容 → 1日の流れ → 入社後3か月 → 応募資格(必須・歓迎) → 待遇 → 選考の流れ
■条件:
- 事実として渡していない内容は書かないでください
- 情報がない箇所は「【要確認】」と書いてください
- 年齢・性別に関する制限は書かないでください
- 抽象的な形容(アットホーム、やりがい、風通しが良い)は使わないでください

[確定した情報を貼る]

最後の3つの条件を必ず入れてください。 入れないと、実態と関係のない形容が並び、法令上書けない条件が混ざります。

ステップ4:実態と照らす

書き上がったものを、現場の人に読んでもらってください。 「この通りの仕事か」を確認します。ここで違和感が出た部分は、入社後のミスマッチになる箇所です。

年齢制限は原則として書けない

ここは法令の話です。

ハローワークインターネットサービスには、次のように記載されています。

年齢にかかわりなく働ける社会の実現に向け、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律の改正により、募集・採用における年齢制限が禁止されています(平成19年10月1日施行)

例外事由に該当する場合を除き、年齢は不問にしなければなりません。

例外事由は6つ

同法施行規則第1条の3第1項に定められているものです。

記号内容設定できる形
a定年年齢を上限として、その上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合定年年齢を上限に設定する場合のみ
b労働基準法等の法令の規定により年齢制限が設けられている場合下限のみ
c期間の定めのない労働契約の対象として、長期勤続によるキャリア形成を図る観点から若年者等を募集・採用する場合上限のみ
d技能・ノウハウ等の継続の観点から、特定の職種で労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ期間の定めのない労働契約の対象とする場合30〜49歳の範囲内で、上限と下限の両方を設定する場合に限る
e芸術・芸能の分野における表現の真実性等の要請がある場合上限と下限の設定が可
f60歳以上の高年齢者、就職氷河期世代(35歳以上55歳未満)、又は特定の年齢層の雇用を促進する施策の対象となる者に限定する場合国の施策を活用しようとする場合に限る

複数該当する場合の優先順位も定められています。 c〜fの各例外事由を優先し、c〜fのうち複数該当する場合は、eよりf、fよりcまたはdを優先します(cとdが同時に該当する場合はありません)。

実務上の注意が2つあります。

  1. cの「キャリア形成」は、期間の定めのない労働契約が前提です。 有期雇用の募集では使えません
  2. 求人申込みの際は、該当する例外事由を選択する必要があります。 該当しないのに年齢を書くと、そもそも受理されません

不明な点は、管轄のハローワークに問い合わせてください。 公式にもそう案内されています。

🔍 編集部の本音 AIに求人票を書かせると、「35歳以下の若手を募集」のような一文が普通に出てきます。 学習元にそういう文章が大量にあるからです。書けない条件を書かせないのは、プロンプト側で明示するしかありません。そして本当に若手を採りたいなら、例外事由cを使うか、「入社後3か月にやること」を具体的に書いて自然に届く形にするほうが、結果的に集まります。

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その他に注意すること

  • 性別による制限にも制約があります。 募集・採用で性別を要件にできる範囲は限られています。詳細は求人媒体の掲載基準と、必要に応じて専門家・労働局に確認してください
  • 「盛る」ことのコストは、入社後に来ます。 実態より良く書いた分だけ、入社後のギャップになります。早期離職の原因になり、採用コストは二重にかかります
  • AIは事実でない内容を自然な文章で埋めることがあります。 数値・制度・待遇の記述は、必ず社内の資料と突き合わせてください(ハルシネーションとは?
  • 社員の個人情報を含む資料をAIに入力する前に、扱いのルールを確認してください(社内情報を学習させない設定

項目別・AIに任せられる範囲

項目AIに任せられるか
給与・勤務時間・休日不可(事実。人が確定させる)
業務内容の事実部分不可(現場に確認する)
業務内容の書き方・順序
1日の流れの構成可(中身は現場から取る)
応募資格の整理(必須・歓迎の分類)可(判断は人)
年齢・性別の条件書かせない
全体の文章の整え
誤字脱字・表記ゆれの確認

公開前チェック

  1. 年齢・性別に関する記述が入っていないか(例外事由に該当する場合は、その旨の選択が必要)
  2. 【要確認】が残っていないか
  3. 給与・勤務時間・休日が、社内の規程と一致しているか
  4. 業務内容が、現場の人の認識と一致しているか
  5. 抽象的な形容だけの段落が残っていないか
  6. 求人媒体ごとの掲載基準を満たしているか

FAQ

Q. AIに求人票を丸ごと書かせられますか?

A. 文章の形は作れますが、中身は埋まりません。 給与・勤務時間・業務内容は事実であり、AIは自社の実態を知りません。足りない項目を指摘させ、それを人が埋めてから清書させるのが実用的な流れです。

Q. 「35歳以下」と書けませんか?

A. 例外事由に該当しない限り書けません。 例えば長期勤続によるキャリア形成を理由とする場合(例外事由c)は上限のみ設定できますが、期間の定めのない労働契約が前提です。求人申込み時に該当する例外事由を選択する必要があります。

Q. 経験年数の条件は書けますか?

A. 年齢制限とは別の話ですが、実質的に年齢を制限する形になっていないかは確認が必要です。判断に迷う場合は管轄のハローワークに問い合わせてください。

Q. 応募が来ない求人票を、AIで書き直せば改善しますか?

A. 文章を整えるだけでは改善しません。 応募の判断に必要な情報(1日の流れ、配属先の構成、入社後3か月、残業の実態)が欠けている場合、そこを埋めるのが先です。

Q. 他社の求人票をAIに読ませて参考にできますか?

A. 構成の参考にする程度なら問題ありませんが、文面をそのまま流用しないでください。自社の実態と合わない記述が混じります。

まとめ

  • 応募が来ない原因は文章力でなく情報の欠落。 まず足りない項目をAIに指摘させる
  • 事実(給与・時間・業務内容)は人が確定させてからAIに渡す
  • 年齢制限は原則禁止。 例外事由はa〜fの6つで、それぞれ設定できる形が違う
  • プロンプトに**「渡していない内容は書かない」「年齢・性別の条件は書かない」「抽象的な形容は使わない」**を入れる
  • 盛った分は入社後のギャップになる。 実態と照らしてから出す

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