「そこは違うと言ったはずです」と3回繰り返している時点で、指示の側に問題があります。

最も多い原因は、禁止だけを伝えていることです。「〜しないでください」は、代わりに何をすべきかを伝えていません。

この記事の要点

  • 否定でなく置き換えで指示する
  • 3回直らなければ会話を作り直す
  • そもそも不可能なことを求めていないか疑う

原因を4つに切り分ける

原因症状対処
①指示が抽象的「もっと自然に」「分かりやすく」と伝えている判断基準を数値・例で示す
②禁止だけ書いている「〜しないで」と言っている代わりに何をするかを書く
③前提が矛盾している複数の条件が両立しない条件の優先順位を決める
④そもそも不可能持っていない情報を求めている求めるものを変える

④を疑う視点が抜けやすい部分です。 社内の事情、最新の情報、あなたの好み——AIが持っていない情報を前提にした指示は、何度出しても満たされません。

否定を置き換えに変える

これだけで、多くの繰り返しが止まります。

効きにくい指示効く指示
堅い表現を使わないで話し言葉で。「です・ます」で書いて
長くしないで各項目1行、全体で300字以内
抽象的に書かないで必ず具体例を1つ入れて
専門用語を使わないで専門用語が出たら、次の行で言い換えて
推測で書かないで情報がない箇所は「【要確認】」と書いて

右側は、すべて「代わりにどうするか」を指定しています。

禁止だけを伝えると、AIは禁止を避けようとしますが、避けた先が指定されていません。 結果として、別の形で同じ問題が出ます。

それでも直らないとき

①判断基準を数字にする

「読みやすく」は判断できません。

■読みやすさの基準:
- 1文は60字以内
- 1段落は3文以内
- 漢字の連続は5文字まで
- 専門用語が出たら次の行で言い換える

基準が数値になっていれば、守られたかどうかを自分でも確認できます。

②例を1つ渡す

説明より、例のほうが速く伝わります。

以下のような書き方にしてください。

【例】
悪い:本施策の実施により業務効率の向上が期待されます。
良い:この方法なら、作業時間が半分になります。

この対比に合わせて、以下を書き直してください。

「良い例」と「悪い例」をセットで渡すのが効きます。 片方だけだと、どこが基準か伝わりません。

③優先順位を決める

条件が矛盾している場合、AIはどちらかを勝手に選びます。

■優先順位(上が優先):
1. 事実の正確さ
2. 指定した文字数
3. 読みやすさ

短くすると正確さが落ちる場合は、正確さを優先して文字数を超えてください。

「両立しない場合どうするか」を書いておくと、揺れなくなります。

会話を作り直す

3回指摘して直らない場合、その会話では直りません。

理由は、それまでのやり取りが文脈として残り続けるためです。 「違う」「そうじゃない」という指摘が積み重なった会話ほど、直前の出力に引きずられます。

新しい会話で、最初から条件を全部入れて出し直すほうが速くなります。

[役割・目的]
[条件を最初から全部書く:形式、長さ、禁止でなく置き換え、優先順位]
[良い例を1つ]

以上の条件で作成してください。

このとき、失敗した出力を「悪い例」として渡すと精度が上がります。

🔍 編集部の本音 同じ指摘を4回目にするとき、たいてい怒りが混じった書き方になっています。「なぜ直らないんですか」と書いても、状況は変わりません。 そこで気づくべきなのは、自分が伝えていないことがあるか、そもそも無理なことを頼んでいるかのどちらかだということです。3回で区切るというルールを決めておくと、無駄な往復が減ります。

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3回ルールを決める

修正の回数に上限を決めておいてください。

回数やること
1回目具体的に指摘する(どこが、どう違うか)
2回目否定を置き換えに変える、基準を数値にする
3回目例を渡す、優先順位を決める
それでも駄目なら会話を作り直す。または自分で書く

最後の選択肢を残しておくことが重要です。

AIに直させる時間が、自分で書く時間を超えたら、その作業はAI向きではありません。 短い文章、微妙なニュアンス、社内の固有事情が絡むものは、自分で書くほうが速い場合があります。

別の問題と切り分ける

「同じ間違いを繰り返す」と見えて、別の問題であることがあります。

症状疑うもの
会話の前半で伝えた条件を忘れている会話が長くなりすぎている回答が途中で切れるとき
事実でない内容が混ざるハルシネーションハルシネーションとは?
渡した資料の内容を反映していない資料が読み込めていない長い資料を読ませるコツ
どの指示にも従わないツールの相性AIツールの乗り換え方

1行目が最も多い誤解です。 「指示を無視している」のではなく、会話が長くなって前半が押し出されていることがあります。この場合、指示を強めても直りません。新しい会話にするのが正解です。

定型作業なら、指示を保存する

同じ作業を繰り返すなら、うまくいった指示文を保存してください。

  • テキストファイルに残す
  • カスタム指示・プロジェクト機能に登録する
  • チームで共有する

毎回ゼロから指示を書くと、毎回同じ調整をすることになります。 一度完成した指示文は、資産です。

FAQ

Q. 「〜しないで」と言っても直りません。

A. 禁止だけでは、代わりに何をするかが伝わっていません。 「堅い表現を使わないで」でなく「話し言葉で、です・ます調で」のように、置き換えの形で指定してください。

Q. 何回まで指摘すべきですか?

A. 3回を目安にしてください。 1回目は具体的な指摘、2回目は否定を置き換えに変える、3回目は例を渡す。それでも直らなければ、会話を作り直すか自分で書くほうが速くなります。

Q. 会話を作り直すと、また一から説明が必要では?

A. 条件を最初から全部書いたほうが、結果的に速くなります。 指摘が積み重なった会話は、直前の出力に引きずられます。失敗した出力を「悪い例」として渡すと精度が上がります。

Q. 前に伝えた条件を忘れられます。

A. 会話が長くなりすぎている可能性があります。 指示を強めても直りません。新しい会話を始めて、必要な条件だけを渡し直してください。

Q. どう指示しても思った通りになりません。

A. そもそもAIが持っていない情報を前提にしていないかを確認してください。社内の事情、最新の情報、あなたの好み——これらは伝えない限り、何度指示しても満たされません。

Q. 毎回同じ調整をしています。

A. うまくいった指示文を保存してください。 カスタム指示やプロジェクト機能に登録するか、テキストファイルに残してチームで共有すると、毎回の調整が不要になります。

まとめ

  • 原因は4つ。 ①抽象的 ②禁止だけ ③前提が矛盾 ④そもそも不可能
  • 否定を置き換えに変える。 「〜しないで」でなく「代わりにこうする」
  • 判断基準を数値にする。 「読みやすく」は判断できない
  • 良い例と悪い例をセットで渡す
  • 条件が矛盾する場合は優先順位を決める
  • 3回で区切る。 直らなければ会話を作り直すか、自分で書く
  • 「忘れている」のは会話が長すぎるサイン。指示を強めても直らない

指示の出し方の基本はプロンプトの基本、現行モデルの整理は主要AIモデルまとめにまとめています。