生成した画像をチェックするより、生成する前に避けるほうが確実です。
最も多い事故は、プロンプトに固有名詞を入れることです。 作品名、キャラクター名、作家名、ブランド名——これらを入れると、似たものが出てくるのは当然の結果になります。
この記事の要点
- プロンプトに固有名詞を入れない(入口で防ぐ)
- 著作権以外の権利も確認する
- 用途で注意度が変わる
⚠️ この記事は確認の手順を扱います。侵害の成否は個別の事案により、最終的には裁判所の判断になります。 判断に迷う場合は専門家に相談してください。基本的な考え方は生成AIと著作権にまとめています。
生成前:プロンプトの確認
次の語を入れないでください。
| 入れない語 | 例 |
|---|---|
| 作品名・キャラクター名 | 特定の漫画・アニメ・ゲームの名前 |
| 作家名・アーティスト名 | 「〇〇風」も含む |
| ブランド名・製品名 | ロゴや商品の形が出る可能性 |
| 実在の人物名 | 著名人・非著名人を問わず |
| 企業名 | ロゴが混入することがあります |
「〇〇風」という指定が、最も誤解されやすい部分です。
画風そのものにはアイデアとしての側面がありますが、特定の作家名を出して生成した結果が既存作品に似ていれば、別の問題になります。 リスクを避けるなら、作家名でなく描写で指定してください。
| 避ける | 代わりに |
|---|---|
| 〇〇(作家名)風のイラスト | 水彩、淡い色調、輪郭線が細い |
| 〇〇(アニメ名)のようなキャラクター | 大きな瞳、短い髪、制服姿 |
| 〇〇(ブランド)のようなロゴ | 円形、青と白、シンプルな幾何学模様 |
描写で指定するほうが、意図した画像に近づくという利点もあります。
生成後:4点を確認する
①既存作品に似ていないか
「見たことがある」と感じたら、確認してください。
- 画像検索で類似画像を探す
- 特定の作品を連想する要素がないか
- キャラクターの特徴(髪型・服装・小物の組み合わせ)が既存のものと一致していないか
②ロゴ・商標が入っていないか
生成画像には、ロゴらしきものが混入することがあります。
- 服のプリント、看板、製品のマーク
- 読めない文字列がロゴに見える場合も、確認が必要です
- 背景の細部まで見てください
③実在の人物に似ていないか
人物を生成した場合、必ず確認してください。
著名人に似た画像は、肖像権やパブリシティ権の問題になりえます。 意図せず似ることもあります。
④文字が意味を持っていないか
生成画像の文字は崩れることが多いのですが、意図しない語になっている場合があります。
特に、公開する画像では必ず確認してください。
著作権以外の権利
画像生成の記事は著作権だけを扱いがちですが、実務で問題になるのはこちらのこともあります。
| 権利 | 関係する場面 |
|---|---|
| 肖像権 | 実在の人物に似た画像 |
| パブリシティ権 | 著名人に似た画像を商業利用する場合 |
| 商標権 | ロゴ・ブランド名が入った画像 |
| 意匠権 | 製品の形状が特定の商品と一致する場合 |
この4つは、それぞれ別の権利です。 「著作権的に問題ない」ことが、他の権利で問題ないことを意味しません。
各権利の要件は専門的な内容になるため、この記事では立ち入りません。 商業利用で判断に迷う場合は、専門家への相談を検討してください。
🔍 編集部の本音 画像生成の権利の話は、「大丈夫かどうか」を白黒つけたくなるのですが、個別の事案によるとしか言えない領域です。現実的な対処は、リスクの高い入口を塞ぐこと。 固有名詞を入れない、人物は避ける、公開前に検索する。この3つで、大半の事故は防げます。残るグレーな部分は、用途に応じて判断を変えるほうが実務的です。
用途で注意度を変える
すべての画像に同じ水準の確認をするのは、現実的ではありません。
| 用途 | 注意度 | 確認すべきこと |
|---|---|---|
| 個人的な検討・下書き | 低 | 特になし |
| 社内資料 | 中 | ロゴ・実在人物の混入 |
| 社外向け資料・提案書 | 高 | 上記+類似作品の検索 |
| Webサイト・SNS | 高 | 上記+サービスの規約確認 |
| 広告・商品パッケージ | 最高 | 上記+専門家への確認を検討 |
| 販売する商品そのもの | 最高 | 同上 |
下の2つは、社内の法務や外部の専門家に確認する領域です。
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プロンプトだけの生成とは、別の注意が必要になります。
| 参照に使うもの | 注意 |
|---|---|
| 自分で撮影した写真 | 比較的問題が少ない(写り込んだ人物・建物・商品には注意) |
| 他者の作品 | 使わない |
| 他人が写った写真 | 本人の同意が必要 |
| ネットで拾った画像 | 使わない |
| 自社の商品写真 | 社内の確認を(撮影者との契約による場合があります) |
「参照するだけなら大丈夫」とは言えません。 参照した画像に依拠した結果が生成されれば、別の問題になります。
サービスの規約を確認する
生成した画像を使えるかどうかは、サービスごとに違います。
- 商用利用の可否(プランによって異なる場合があります)
- 生成物の権利の扱い
- クレジット表記の要否
- 生成AIの使用に関する表示義務
これらは変更が頻繁です。 使う前に、その時点の規約を確認してください。各サービスの比較は画像生成AI比較、ChatGPTでの生成はChatGPTで画像を生成する方法にまとめています。
加えて、納品先や掲載先の規定も確認してください。 自分の判断で使えても、クライアント側が生成AIの使用を制限している場合があります。
社内でルールを作るなら
個人の判断に任せると、事故が起きます。
最低限、次を決めておいてください。
- プロンプトに固有名詞を入れない(周知する)
- 人物の生成は、用途を限定する
- 公開前の確認担当を決める
- 使用したサービスとプロンプトを記録する(後から確認できるように)
- 判断に迷ったら止める(誰に聞くかを決めておく)
4番目が効きます。 どのサービスでどう生成したかが残っていないと、後から問題が起きたときに検証できません。
社内での取り扱いルールは社内情報を学習させない設定とあわせて整備してください。
FAQ
Q. 「〇〇風」と指定するのは問題ありますか?
A. 作家名を出す指定は避けることをおすすめします。 リスクを下げるなら、作家名でなく描写(色調、輪郭線、構図)で指定してください。意図した画像に近づくという利点もあります。
Q. 生成した画像はそのまま商用利用できますか?
A. サービスの規約によります。 商用利用の可否はプランによって異なる場合があり、変更も頻繁です。加えて、納品先や掲載先が生成AIの使用を制限している場合があります。
Q. 何を確認すればいいですか?
A. 生成後の4点(既存作品との類似、ロゴ・商標の混入、実在人物との類似、文字の意味)です。ただし、生成前にプロンプトから固有名詞を外すほうが確実です。
Q. 著作権だけ気をつければいいですか?
A. 肖像権・パブリシティ権・商標権・意匠権も関係します。 これらは別の権利で、著作権上問題がなくても他で問題になることがあります。
Q. 参照画像を使ってもいいですか?
A. 自分で撮影した写真なら比較的問題が少なくなります(写り込んだ人物・建物・商品には注意)。他者の作品やネットで拾った画像は使わないでください。
Q. 広告に使いたいのですが。
A. 最も注意が必要な用途です。 生成後の確認に加えて、社内の法務または外部の専門家への確認を検討してください。
まとめ
- 生成前にプロンプトから固有名詞を外す(作品名・作家名・ブランド名・人物名・企業名)
- 「〇〇風」でなく描写で指定する
- 生成後の4点確認:類似作品/ロゴ・商標/実在人物/文字の意味
- 著作権以外に、肖像・パブリシティ・商標・意匠の権利がある
- 用途で注意度を変える。 広告・商品は専門家への確認を検討
- 参照画像は自分で撮影したもの以外は使わない
- 社内ではプロンプトと使用サービスを記録する
