アンケートは、聞き方で答えが変わります。

そしてAIに設問を作らせると、誘導的な設問が出てきます。 「〜だと思いますか」「〜は重要ですか」——この形は、ほぼ確実に「はい」が多くなります。

設問はAIに作らせてよいのですが、必ず点検が要ります。

この記事の要点

  • AIの設問は誘導的になりやすい
  • 点検させる使い方のほうが安全
  • 自由記述は分類を先に決めない

ステップ1:何を知りたいかを1文にする

設問を作る前に、これを決めてください。

  • 何を判断するためのアンケートか
  • 結果がどうなったら、何をするのか

「結果がどうなったら何をするか」が決まっていない設問は、聞いても使えません。

以下の目的でアンケートを実施します。
この目的に対して、本当に必要な設問だけを提案してください。

■目的:[ ]
■この結果で判断すること:[ ]
■回答者:[ ]
■回答にかけてよい時間:[3分以内など]

- 設問は最大10問にしてください
- それぞれ「この設問の答えで何が分かるか」を書いてください
- 誘導的な聞き方を避けてください

「この設問の答えで何が分かるか」を書かせると、要らない設問が見えます。 答えが分かっても行動が変わらない設問は、削ってください。

ステップ2:歪める聞き方を点検する

作った設問を、AIに点検させます。

以下はアンケートの設問案です。
回答を歪める可能性がある設問を指摘してください。

1. 誘導している設問
2. 1つの設問で2つのことを聞いている設問
3. 選択肢が偏っている設問
4. 前提を押し付けている設問

- 指摘と、改善案をセットで出してください

[設問案を貼る]

4つの型

悪い例直し方
誘導「便利なこの機能を使いたいと思いますか」「この機能を使いますか」(形容を外す)
ダブルバーレル「価格と品質に満足していますか」2問に分ける
選択肢の偏り「満足/やや満足/普通」不満側も同数用意する
前提の押し付け「改善してほしい点はどこですか」「改善してほしい点はありますか」→ ある場合のみ次へ

2番目が最も見落とされます。 「価格と品質」のように2つを1問で聞くと、どちらについての回答か分からなくなります。

4番目は、「不満がある前提」で聞いてしまう形です。 満足している人が無理に何かを書くことになり、データが歪みます。

🔍 編集部の本音 アンケートで最も多い失敗は、設問が多すぎることだと思います。「せっかく聞くなら」で10問が20問になり、回答率が落ちる。「この答えで何をするか」を全問に書かせると、半分は消えます。 AIは設問を増やすのは得意ですが、減らすのは指示しないとやりません。

ステップ3:選択肢を作る

以下の設問について、選択肢を作ってください。

■設問:[ ]
■条件:
- 選択肢は5つ以内
- **重複や漏れがないようにしてください**
- 「その他(自由記述)」を必ず入れてください
- 肯定側と否定側の数を揃えてください

「重複や漏れがない」が要点です。 選択肢が重なっていると、回答者が迷います。

「その他」を必ず入れてください。 想定外の回答を拾う唯一の経路です。

ステップ4:自由記述を集計する

ここがAIの最も有用な使い道です。

ただし、分類を先に決めないでください。

悪い手順

  1. 「価格・品質・サポート」の3分類を決める
  2. AIに分類させる
  3. 想定外の意見が全部「その他」に落ちる

良い手順

以下は自由記述の回答です。
まず、回答から分類を作ってください。

- 分類は5〜8個
- **こちらから分類は指定しません**
- 各分類に、代表的な回答を2つずつ引用してください
- どの分類にも入らない回答は「分類不能」として残してください

[回答を貼る]

分類を回答側から作らせると、想定していなかった論点が出てきます。 それがアンケートを取った価値です。

そのあとで件数を数えます。

上で作った分類ごとに、該当する回答の件数を数えてください。
- 1つの回答が複数の分類に該当する場合は、その旨を明記してください
- 件数は正確に数えてください(推測しないでください)

件数は必ず自分でも確認してください。 AIの計数は間違うことがあります。数値の扱いはAIでデータ分析する方法にまとめています。

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数値の集計

選択式の集計は、表計算ソフトのほうが確実です。

AIが効くのは、集計後の解釈です。

以下は集計結果です。次を挙げてください。

1. 数字から確実に言えること
2. **数字だけでは言えないこと**(追加で調べる必要があること)
3. サンプル数から見て、判断に注意が必要な項目

- 因果関係を推測しないでください

[集計表を貼る]

2番目が重要です。 「満足度が低い」ことは分かっても、「なぜ低いか」はアンケートの数字からは出てきません。そこを混同した報告書が、よく作られます。

CSVを直接読ませる方法はChatGPTのデータ分析機能にまとめています。

回答者の情報の扱い

自由記述には、個人が特定できる内容が含まれることがあります。

内容扱い
氏名・所属・連絡先入力しない
特定の個人を指す記述(「〇〇さんの対応が」)伏せてから入力
社内アンケートの、個人が推測できる記述慎重に判断(少人数の部署では特定されます)
一般的な意見・要望社内ルールの範囲で扱える

社内アンケートは特に注意が必要です。 「入社1年目の営業」のような属性が書かれていると、少人数の組織では個人が特定されます。

匿名で集めたアンケートを、AIに入力することで実質的に特定可能になる——という状態は避けてください。

各社の設定は社内情報を学習させない設定にまとめています。

報告するとき

  • 設問文をそのまま載せる(聞き方によって結果が変わるため)
  • 回答数と回収率を明記する
  • 自由記述は引用の形で残す(要約だけにしない)
  • 「分からなかったこと」も書く

4番目が誠実さの部分です。 アンケートで分からなかったことを書いておくと、次の調査につながります。

FAQ

Q. アンケートの設問をAIに作らせてもいいですか?

A. 作らせて構いませんが、点検が必要です。 AIが作る設問は誘導的になりやすく(「〜だと思いますか」型)、そのまま使うと結果が歪みます。作った設問を「誘導・ダブルバーレル・選択肢の偏り・前提の押し付け」の観点で点検させてください。

Q. 設問は何問くらいが適切ですか?

A. 回答にかかる時間から逆算してください。 目安として、全問に「この答えで何をするか」を書かせると、要らない設問が見えます。答えが分かっても行動が変わらない設問は削れます。

Q. 自由記述の集計はどうすればいいですか?

A. 分類を先に決めないでください。 回答から分類を作らせると、想定していなかった論点が出てきます。先に分類を決めると、想定外の意見が「その他」に落ちます。

Q. 集計の件数は信用できますか?

A. 必ず自分でも確認してください。 AIの計数は間違うことがあります。選択式の集計は表計算ソフトのほうが確実で、AIは集計後の解釈に使うほうが向いています。

Q. 社内アンケートの回答をAIに入力しても大丈夫ですか?

A. 個人が特定できる記述に注意してください。 少人数の部署では、属性が書かれているだけで特定されます。匿名で集めたものが、入力によって実質的に特定可能になる状態は避けてください。

Q. 「なぜ満足度が低いか」を分析できますか?

A. アンケートの数字からは出てきません。 数字で分かるのは「低い」ことまでです。理由は自由記述か、追加のヒアリングで確認する必要があります。ここを混同した報告にならないよう注意してください。

まとめ

  • 設問は作らせるより点検させる。 AIの設問は誘導的になりやすい
  • 歪める4つの型:誘導・ダブルバーレル・選択肢の偏り・前提の押し付け
  • 「この答えで何をするか」を全問に書かせると、要らない設問が消える
  • 自由記述は分類を先に決めず、回答から分類を作らせる
  • 件数は自分でも確認する。 集計は表計算、解釈がAI
  • 個人が特定できる記述は入力しない。 少人数の組織では属性だけで特定される
  • 報告には設問文・回収率・引用・分からなかったことを入れる

指示の出し方の基本はプロンプトの基本、人事領域での使いどころは人事の仕事はAIでどう変わる?、AIが事実でない内容を補う仕組みはハルシネーションとは?にまとめています。