生成AIは、疲れず、遠慮せず、いくらでも案を出します。一人でもブレストが成立するのが最大の利点です。 ただし、そのまま頼むと平凡な案しか出てきません。これはAIの手抜きではなく、仕組みからくる性質です。この記事では、その理由と、発想を崩すための具体的な制約の出し方を解説します。
この記事の要点
- AIの案が平凡なのは、ありそうな答えを返す仕組みだから。制約を足せば崩せる
- 発散に効く制約は5種類(逆張り・極端な数量・別業界・禁止条件・立場交代)
- 絞り込みの軸は自分で決める。実現可能性はAIには判断できない
なぜAIの案は平凡になるのか
生成AIは、学習した大量の文章から**「その問いに対して、ありそうな答え」**を組み立てます。だから「新商品のアイデアを出して」と頼めば、世の中にすでにある発想の平均あたりが返ってきます。
これは欠点ではありません。平均を高速で出せるということは、「まず思いつくべきことの抜け漏れチェック」としては非常に優秀です。問題は、そこで止めてしまうことです。
平均から外すには、平均が成立しない条件を与えるのが確実です。
発散:数を出す
まず量を確保します。
【テーマ】についてアイデアを20個出してください。 条件:似た方向の案が3つ以上続かないようにする。1案は1行で。 ありきたりなものと、実現性を無視した極端なものを混ぜてください。
**「似た方向が3つ以上続かない」**が効きます。これを言わないと、20個のうち15個が同系統になります。
発散:5つの制約で崩す
出た案が平凡なら、制約を足します。1つずつ試すのが基本です。
| 制約の型 | 頼み方 | 何が起きるか |
|---|---|---|
| 逆張り | 「逆に、絶対にやってはいけない案を10個」 | 禁止案の反転から本命が見つかる |
| 極端な数量 | 「予算が10倍なら/予算ゼロなら」 | 前提条件が外れ、発想の軸が変わる |
| 別業界 | 「コンビニ業界ならどう解決するか」 | 他業界の当たり前が、この業界の新案になる |
| 禁止条件 | 「SNSとキャンペーンを使わない案で」 | 定番の逃げ道を封じると、別の道を探す |
| 立場交代 | 「新入社員なら/競合他社の立場なら」 | 見ている前提が入れ替わる |
**いちばん効くのは「逆張り」と「禁止条件」**です。人間のブレストでも同じで、選択肢を狭めたほうが発想は広がります。
発散:組み合わせる
出たアイデアのうち、関係が薄そうな2つを選んで掛け合わせ、新しい案を5つ作ってください。 組み合わせた理由も1行で添えてください。
「関係が薄そうな」を指定するのがコツです。指定しないと、似たもの同士を足した無難な案になります。
指示の型そのものはプロンプトの基本にまとめています。
収束:軸は自分で決める
広げたあとは絞りますが、ここで**「良いアイデアを3つ選んで」と丸投げしない**でください。何を良しとするかは、状況によって違うからです。
先に軸を決めます。
次の2軸でアイデアを評価し、表にしてください。 縦軸:今月中に着手できるか(できる/準備が要る/できない) 横軸:うまくいったときの影響の大きさ(大/中/小) 評価の理由も1行ずつ添えてください。順位はつけないでください。
**「順位はつけないで」**が要点です。整理まではAIに任せ、選ぶのは自分がやります。
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次の4つは、AIが判断できる材料を持っていません。
- 実現可能性:自社の人員・予算・体制を知らないため、机上の判断になります
- 社内が納得するか:組織の力学は外からは見えません
- すでに試して失敗したか:過去の経緯はAIの知るところではありません
- 本当にやりたいか:ここを他人に決めさせる意味がありません
つまり、AIは「選択肢を並べる係」まで。決めるのは人です。企画職での使いどころは企画・コンサル職の仕事とAI、施策づくりの文脈はマーケターの仕事はAIでどう変わる?で扱っています。
会議のブレストと、どう組み合わせるか
会議の前にAIで20案出しておくと、「案を出す時間」を会議から省けます。 会議では、出そろった案に対して、AIが知らない情報(社内の事情、過去の経緯、担当者の温度感)を足す議論に集中できます。
ただし、最初からAIの案を配ると、それが基準になって発想が縛られることがあります。会議の前半は人だけで出し、後半でAIの案を突き合わせる順序のほうが、幅は広がりやすくなります。
注意点
- 機密のアイデアは入力しない:未公開の企画や、社外に出せない情報の取り扱いは所属先のルールに従ってください
- アイデアと表現物は別:着想を得るところまでは自由度が高いですが、実際の制作物にする段階では、既存の作品と似ていないかを確認してください
- 偏りは残る:制約を足しても、AIの出力にはもとの学習内容の傾向が出ます。最終的な幅は人が担保します
FAQ
Q. 一人でもブレストになりますか? A. なります。むしろ、人数がそろわないときの代替として実用的です。ただし、AIは自社の事情を知らないため、実現可能性の検討は自分で行う必要があります。
Q. 出てくる案が平凡です。どうすればいいですか? A. 「もっと斬新に」と頼むより、制約を足すほうが確実です。「予算ゼロなら」「SNSを使わないなら」「競合の立場なら」のように、前提を1つ壊してみてください。
Q. アイデアの権利はどうなりますか? A. 着想を得る段階と、それを具体的な制作物にする段階は分けて考える必要があります。実際に世に出すものについては、既存の作品と似ていないかの確認をおすすめします。
Q. SNSの投稿ネタ出しにも使えますか? A. 使えます。ネタ出しから下書きまでの流れはAIでSNS投稿を作る方法にまとめています。
まとめ
- AIの案が平凡なのはありそうな答えを返す仕組みだから。欠点ではなく性質
- 発散は「似た案を3つ以上続けない」+5つの制約(逆張り・極端な数量・別業界・禁止条件・立場交代)
- 組み合わせは「関係が薄そうな2つ」を指定する
- 収束は軸を自分で決め、順位はつけさせない。実現可能性はAIに判断できない
- 会議では、前半は人だけで出し、後半でAIの案を突き合わせる
次に読む:プロンプトの基本/企画・コンサル職の仕事とAI
※各AIサービスの仕様は変更されることがあります。最新の情報は公式サイトでご確認ください。
出典
- 本記事は制度・料金・統計を扱わないため、外部の数値出典は用いていません
- 各AIサービスの仕様は各社公式情報
最終更新:2026年7月25日/fondantAI編集部
