生成AIは、誤字脱字のチェックから、読みやすさの改善、トーンの調整までまとめて任せられます。 コツは、校正と推敲を1回で頼まないこと。この2つは目的が逆方向なので、同時に投げると「誤字は直ったが意味が変わっていた」という事故が起きます。この記事では、工程を分けた頼み方と、AIに直させてはいけない箇所の線引きを解説します。

この記事の要点

  • 校正(誤字を直す)と推敲(読みやすくする)は別の作業。分けて頼むと精度が上がる
  • 固有名詞・数値・引用・契約文言の4つは、AIに直させない
  • AIが苦手なのは「文法的に正しい誤字」=同音異義語。ここは人が読む

なぜ校正と推敲を分けるのか

校正は「変えない」作業、推敲は「変える」作業です。 校正は誤字・脱字・表記ゆれを直すだけで、書き手の意図には手を触れません。一方の推敲は、冗長な部分を削り、順番を入れ替え、言い回しを変えます。

この2つを「誤字を直して読みやすくして」と一度に頼むと、AIは推敲側に引っぱられます。結果、誤字が直ったかどうかも分からないまま、文章全体が別物になって返ってきます。どこを直されたのか追えなくなるのが、いちばん困る失敗です。

だから順番はこうです。①まず校正だけを頼み、直った文章を確定させる → ②その確定版に対して推敲を頼む。二度手間に見えますが、あとで読み比べる時間を考えれば、こちらのほうが早く終わります。

そのまま使えるプロンプト

① 校正(誤字脱字・表記ゆれ)

次の文章の誤字脱字・表記ゆれだけを直してください。表現や語順は変えないでください。 修正した箇所を「修正前→修正後」の一覧で示してください。 【文章を貼る】

「修正箇所の一覧も」と足すのが要点です。 直った文章だけ返されると、自分が何を間違えたのか分からず、次も同じミスをします。一覧があれば、自分の癖(「い抜き」「二重敬語」など)が見えてきます。

② 推敲(読みやすさ・伝わりやすさ)

次の文章を、意味を変えずに読みやすくしてください。 条件:一文は60字以内、専門用語は言い換える、結論を先に置く。 【文章を貼る】

条件を数字で指定するのがコツです。「読みやすく」だけだと、AIの解釈しだいで結果がぶれます。

③ トーンの調整

この文章を、社外のお客様に送る想定で、丁寧なトーンに直してください。へりくだりすぎないでください。

「丁寧に」だけ頼むと、過剰にへりくだった文になりがちです。上限も一緒に指定すると、ちょうどよい硬さに収まります。メール特有の型はAIでビジネスメールを書く方法で扱っています。

④ 自分では気づけない指摘をもらう

この文章で、読み手が誤解しそうな箇所を3つ指摘してください。直さなくて構いません。

直させるのではなく指摘だけさせる使い方です。判断は自分に残るので、文章の主導権を手放さずに済みます。

AIに直させてはいけない4か所

ここが、AI校正でいちばん事故が起きるところです。次の4つは、AIが「よかれと思って」書き換えてしまう領域です。

直させない箇所なぜ危ないか
固有名詞(社名・製品名・人名)正式表記を「自然な表記」に勝手に整えられる。「株式会社」の位置や中黒の有無が変わる
数値・日付・単位前後の文脈に合わせて”丸められる”ことがある。桁や単位が静かに変わる
引用部分引用は改変が許されない。読みやすくされた時点で引用でなくなる
契約・法令にかかわる表現「〜することができる」と「〜するものとする」では意味が違う。整えると条件が変わる

対策は指示に一行足すだけです。

ただし、固有名詞・数値・日付・引用部分(「」内)はそのまま残してください。

それでも、返ってきた文章の数値と固有名詞は自分の目で照合してください。 指示しても書き換わることはあります。

AI校正が苦手なこと

AIは「文法的に間違っている誤字」には強く、「文法的には正しい誤字」には弱いという偏りがあります。

  • 同音異義語:「保証/保障/補償」「以外/意外」「収める/納める」。文としては成立しているため、見逃されやすい
  • 文脈依存の事実誤り:社内の略称、部署名、去年の企画名など、AIが知らない情報は判定できない
  • 書き手だけが知っている前提:説明が足りているかどうかは、読者を知らないAIには測りきれない
  • 長文の一貫性:前半と後半で用語が揺れていても、部分ごとに処理すると気づかない

つまり、AIに任せられるのは「機械的に判定できる誤り」までです。同音異義語のチェックは、いまのところ人が読み返すのが確実です。

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用途別の使い分け

文章の種類頼む中心特に注意する点
ビジネスメールトーン調整へりくだりすぎ。宛名・敬称は直させない
報告書・議事録校正+簡潔化数値と固有名詞。AIで議事録を作る方法も参照
ブログ記事推敲(冗長さ削り)自分の体験部分まで平板にされないよう範囲を指定
履歴書・職務経歴書校正のみ経歴の”盛り”をAIに足させない
長文の要約前チェック校正AIで長文を要約する方法と組み合わせる

事務職の文書業務全体での使いどころは事務職の仕事はAIでなくなる?で整理しています。

精度を上げる4つのコツ

  1. 段落単位で渡す:一度に長文を入れるほど、後半の処理が雑になりやすい
  2. 読み手を伝える:「社外の初対面の相手向け」など。推敲の方向が定まる
  3. 直した理由を聞く:「なぜそう直したか」を添えさせると、妥当性を判断できる
  4. 元の文章を残しておく:戻せる状態にしておけば、直しすぎても復旧できる

頼み方の型そのものはプロンプトの基本にまとめています。ブログ執筆の工程に組み込む場合はAIでブログ記事を書く方法もあわせてどうぞ。

FAQ

Q. 校正ツール(Wordの校閲など)と何が違いますか? A. 従来の校正ツールは辞書とルールで判定するため、指摘は正確ですが範囲が限られます。生成AIは読みやすさやトーンまで踏み込める代わりに、指摘の根拠が一定しません。誤字だけなら校正ツール、伝わり方まで見たいならAI、という使い分けが実用的です。両方かけても構いません。

Q. 直された文章をそのまま使って大丈夫ですか? A. 数値・固有名詞・引用の3点だけは、元の文章と照合してください。それ以外は、意味が変わっていないかを通し読みすれば十分なことが多いです。

Q. 長い文章もまとめて頼めますか? A. 頼めますが、段落や章ごとに分けたほうが精度が安定します。一度に扱える量はサービスやプランで異なるため、上限は各社の公式情報をご確認ください。

Q. 会社の文書を貼って大丈夫ですか? A. 機密情報の取り扱いは所属先のルールに従ってください。判断に迷う内容は入れないのが安全です。社名や個人名を伏せ字にしてから貼る方法もあります。

まとめ

  • 校正(変えない)と推敲(変える)は目的が逆。分けて頼むと精度も追跡性も上がる
  • 固有名詞・数値・引用・契約文言はAIに直させない。指示に一行足し、戻ってきたら照合する
  • AIが苦手なのは同音異義語など「文法的に正しい誤り」。ここは人が読む
  • 修正箇所の一覧を出させると、自分の文章の癖が分かり、次から減っていく

次に読む:プロンプトの基本AIでビジネスメールを書く方法


※各AIサービスの仕様・対応範囲は公式情報をご確認ください。

出典

  • 本記事は制度・料金・統計を扱わないため、外部の数値出典は用いていません
  • 各AIサービスの対応範囲・仕様は各社公式情報

最終更新:2026年7月25日/fondantAI編集部